心を伝えるために。社員に響く社長スピーチ最重要原則
変わってほしいことを朝礼などで伝えているのに、変わらない。
社員の行動を変えさせるというのは大変なことです。
会社をもっと発展させるために、社員一丸となって変わっていきたい。でも、言っても伝わらず、変わらず、人知れず挫折する経営者の話はよく聞きます。
ちゃんと伝えているはずなのに、行動が変わらないのはなぜでしょうか?
どうすれば、社員の行動を変革、活性へとむけることができるのでしょうか。
目次
- ○ なぜ伝えているのに行動が変わらないのか?
- ○ 記憶の仕組みで見るメッセージの組み立て方針
- ○ シンプルの原則(“ひとつ”の原則)とは何か
- ○ 組織変革を成功させるためのパターン
- ○ まとめ~社長メッセージは船長のコンパス~
- ・執筆者紹介
なぜ伝えているのに行動が変わらないのか?
メッセージを発信しても社員が変わらないのは、社員がよくわかっていないからと思いがちです。重なると、「うちの社員の能力は低い」という思いがつのり、行き過ぎると厳罰主義をやって、かえって社内の空気を悪くしてしまうこともあります。
しかし視点を変えたとたんに、驚くほどの経営者のメッセージが伝わり、行動が変わったりします。
経営者は、組織のリーダーとして大所高所から会社をとらえています。組織全体を眺め、社員には痛みのわかりづらい決算のこともいつも念頭に置きながら経営をしています。
その結果、よくわかっているだけに、全部わかってほしい衝動にかられるのです。
伝わらないメッセージには共通する特徴があります。
社員にいっぺんに多くのことを伝えてしまっているのです。
「あれも大切、そしてこれも大切。」
「そういえばあちらも大切。やっぱりこれも大切。」
「それらを全部理解してください。全部行動を改善してください。」
「たくさん同じように大切」とは、「どれも突出して大切ではない」と言っていることと同じです。
経営者と社員とは、ひとつの言葉でも、その背景や重要性の理解には、もともと大きなギャップがあります。
社員からすれば、ひとつのギャップを理解するだけでも大変です。
そんな中、いくつも伝えられては消化することができません。
「もともとの理解度におけるギャップを考えずに、多くを伝えようとする」
これは社員に混乱をもたらす、メッセージが伝わらなくなる大きな要因です。
それでは社員の行動も変わりようがありません。
記憶の仕組みで見るメッセージの組み立て方針
脳という臓器は、そもそも忘れやすいのです。
脳は一度に最大7つ程度の項目しか覚えられないようにできています。
マジカルナンバー7ともよばれ7つ以上の項目になると、ひとは「たくさん」としかとらえられなくなってきます。
エビングハウスという心理学者の実験した有名な忘却曲線というものがあります。それによるとせっかく覚えても、20分後には42%忘れ、1時間後には56%忘れるのです。
なんと、1時間後には半分も覚えていないのですね。
1日たつとさらに67%忘れ、6日後には75%忘れてしまいます。
一週間後には、ほぼ残っていない、というべきでしょう。
つまり、わたしたちは、もともと忘れる生き物なのです。
しかも社員の立場では、まず第一に大切なのは目の前の業務です。
経営者視点のメッセージは、理解にも時間がかかり、まっさきに忘れてしまうように脳の中でプログラミングがはたらいてしまうのです。
・もともと覚える数はすくなくできている
・もともとほとんどはすぐに忘れるようにできている
・しかも目の前の業務をこなす方が喫緊の課題
ともなれば、ふつうのメッセージで記憶に残す方が難しいと言わざるを得ません。
ではどうするのか?
それは、記憶の仕組みに忠実にメッセージを発信するのです。
それを「シンプルの原則(“ひとつ”の原則)」と言います。
シンプルの原則(“ひとつ”の原則)とは何か
記憶の仕組みからすると、「メッセージはシンプルであれ」につきます。
情報が氾濫している現代では、マジカルナンバー7でさえ多いくらいです。
あなたも、電話番号でさえ、もう覚えられなくなっていませんか?
そう考えると、伝わり記憶に残るメッセージの原則はこうなります。
・覚えさせることは、極力少なく
・少数のことを、何度も伝える
・メッセージに優先順位をつける
やってほしいことを極力絞る。何度も何度も伝える。そして、それは日々の業務よりも大切であることを伝え続けるのです。
社員は能力が低いのではなく、「多くのことを」理解できないだけなのです。
もちろん、3つよりも、2つです。
そして2つよりも、ひとつ。
それが、もっとも記憶に残ることはいうまでもありません。
シンプルの原則は、“ひとつ”まで突き詰めるともっとも社員の記憶と心に残ります。
まっさきにその行動を変えなければならないと、矢で打たれたように、胸に突き刺さるのです。
組織変革を成功させるためのパターン
社員変革、組織変革は、記憶や習慣との勝負とも言えます。
社員は社員で日々の業務があるわけです。経営者のメッセージが大切だとおもっても、「もっとも大切なこと」がわからなければ、目の前のことが優先になるのは当然です。社員の立場からすれば、そうしないと「社長から怒られる」のですから・・・
だからこそ、組織変革メッセージは、「これをもっとも優先すべきだ」と伝えなければなりません。
組織変革は古来、共通するパターンはこの通りです。
・大切なことを絞る
・絞ったメッセージを伝える
・メッセージで伝えたことは最優先だと姿勢で示す
できれば、“ひとつ”に。
メッセージは絞れば絞るほど、ビームのようにエネルギーを持ち、突き刺さります。
まとめ~社長メッセージは船長のコンパス~
社長のメッセージは、会社のコンパスです。
しっかり「これだ」と絞って指し示すほど、社員は行く道、やることに迷わなくなり、高いパフォーマンスを発揮します。
たとえ荒れ狂う大航海も、船長の言葉ひとつでみんなが安心でき、まとまるものです。
「ワンメッセージ、ワンチーム」
社長と社員がひとつになっていきますよう、応援しています。
P.S.
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執筆者紹介
オフィスオントロジー
代表 友成治由
人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家
10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるメンターメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。
哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。
経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など
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