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組織活性化/組織一体化

頼もしい社員への行動基準。効果的な「クレド」の作り方

社員たちは、あなたの会社に“ふさわしい”行動をしていますか?

社員たちには、外からみて「まさにあの会社の社員だ」と言われる仕事ぶりをしていますか?

 

いい仕事をする社員とは、「(うまく)業務ができる」だけではありません。

「会社の価値も高める」社員こそ、ほしい社員ですよね。

 

そんな、会社のブランディングにもつながる社員をつくるのが、「行動基準」。

「行動基準」のある会社は、統一感、秩序感、信頼感がありますが、「(うまく)業務ができる」だけの会社は、規律に乏しく、いいときはいいが悪いときは悪いという不安感が残ります。

 

今回は「行動基準」とは何か? どういう役に立つのか? どうしたらいい行動基準が作れるのかなどを見ていきましょう。

目次

行動基準(ポリシー・クレドetc)とはなにか?

行動基準とは、なんでしょうか?

行動基準とは、経営理念や目指すビジョンのために具体的に行動ルール化したもの、行動するための指針となる判断基準のことをいいます。

行動基準は、「ポリシー」と呼ばれたり、「クレド」と呼ばれたりもしています。
とくに近年は「クレド」という言葉が浸透しています。

「クレド」はラテン語で「信条」という意味。
日本で有名になったのは、一流ホテル五つ星であるリッツ・カールトンホテルのあの最高級のホスピタリティの秘密が、社員が常に「クレド」を冊子にしたものを携帯し、いつでもそれに基づいて行動していることが知れ渡ってきたからでした。

※リッツ・カールトンホテルのクレドは本章末URL参照

他にも有名なところでは、ディズニーランドが「The Four Key ~4つの鍵~」と焼死した
「SCSE」の行動基準を定めています。2011年の震災時には、「SCSE」に従ってスタッフ(ディズニーではキャストと呼びます。)たちが、自主的に行動して感動を与えたことは記憶に新しいところです。
(S…Safety 安全、C…Courtesy 礼儀正しさ、S…Show ショー、E…Efficiency 効率)

※ディズニー(オリエンタルランド)の4つの鍵は本章末URL参照

高度基準は、経営理念やビジョンの実現にふさわしい行動を自主的に判断できるようにするためであり、定められた優先順位にそって社員たちは日常の、未知の問題にあたっていきます。

組織活性や組織変革のときに目指すひとつのメルクマール(目標)が「行動基準」です。
よい「行動基準」を定め共有するところまでいけば、まずは大きな山をクリア。
社員の意識や行動を、ゴールへ向かって軌道に乗せるところまできた、といえるでしょう。

行動基準はなぜ必要なのか? 一つ目の理由

それではあらためて、行動基準はなぜ必要なのでしょうか?

正直なところ、大半の会社には行動基準はありません。
あっても明文化はされず、なんとなくで教えられているくらいです。
新入社員にマナーを学ばせたらそれが行動基準だ、くらいのところもあります。

たしかに、業務がうまく回ることのみを目標とするならばそれでもなんとかなるでしょう。
よほどの品質の悪さや不祥事が無い限りは、ある程度の決まり事が回れば、仕事は一応回るからです。

しかし、もう一つ上のレベルの志や会社の質の向上を目指したとたん、しっかりと行動基準を定めることは必須事項としなります。

なぜなら、行動基準は、経営理念や目指すビジョンのためにあるものです。

「会社の在り方」という抽象的で概念的なものを、具体的に実現するための行動を定めるものであり、目指す志の高さに応じてふさわしい行動は変わってくるからです。

たとえば、近所の日帰り登山をする人に求められる毎日の行動と、エベレスト頂上を目指す人の行動はおのずから変わってきますよね。エベレストを目指す人は、日ごろから節制し万全の体調を整えることを行動基準とするはずです。その行動基準を続けることによって、頂上という目標を達成するわけです。

会社でも同じです。
リッツ・カールトンホテルやディズニーは、会社としての経営理念や目指すビジョンを高く設定しています。それにより、お客や社会に感動を与えることを使命とし、それによって自分たちは存在していると自覚しています。
だからそれを実現するために必要かつふさわしい行動の基準を定めました。

社員やスタッフたちは、現場においても経営陣にいちいち聞くのではなく、行動基準をよりどころとして、自ら判断して問題解決や、顧客対応とまい進します。行動基準が社員を育てているのです。経営陣から社員まで行うその積み重ねが、目指す究極のゴールへと会社全体を導いています。

行動基準はなぜ必要なのか? 二つ目の理由

さらにいえば、行動基準は、顧客からの評価を決めるものです。
行動基準は、その会社の顧客や社会に対する約束でもあります。

「わたしたちは、顧客や社会に◆◆な価値を与える会社である。だから、それにふさわしい〇〇という行動をとる。」

そう宣言しているわけです。
顧客や社会は、社員たちの行動基準に基づいた行動(仕事ぶり、仕事への姿勢)を見て、「さすがこの会社の社員たちだ。」そう、その会社への評価を決めていきます。

それは会社が、社員たちと一体となって築き上げるブランドとなり、ひとりひとりの社員の行動によって、ブランドは毎日強固になり高まり続けます。

リッツ・カールトンやディズニーランドでは、宿泊したり園内のアトラクションで遊んだりといった実利だけでなく、そのスタッフたちに会いたい、その会社のつくりあげている雰囲気全体を体験したいということで驚異のリピーター率をほこっています。

「おたくの会社の社員やスタッフがすばらしいから、おたくに決めたよ」

B to CでもB to Bでも、同じような話は本当によくあります。

とくに情報化社会、SNS社会が進み、実利や機能的なものは単純に比較しやすい現代です。「人」が判断基準にシフトしてきています。

醸し出す雰囲気、会社の果たす約束への信頼感、仕事への気持ちいい姿勢、つながりや絆こそが会社や商品を選ぶ理由になってきているため、なおさら行動基準は重要になってきています。

「いい行動基準」を策定するための3つのステップ

行動基準、とくに「いい行動基準」を策定するためにはどうすればいいのでしょうか?

行動基準は、先にも紹介したように、さまざまな企業サイトでも公開されています。
まずはあなたがいいなあと思った会社のサイトなどを覗いてみてください。

やはり、独自の存在感がある会社の行動基準は、「なるほど、だからなのか」という納得させられるものが多くあります。

では、それらの見本となる会社の行動基準を自社に当てはめよう!

と、思ったら、お待ちください。
それでは失敗してしまいます。

行動基準は、これまで見てきたように、あなたの会社の経営理念やビジョンのためにあるものです。他の会社の行動基準はその会社の経営理念やビジョンのために作られています。

いい行動基準は、あくまでもあなたの会社にとっていい行動基準であり、他の会社のものを単にあてはめると、かえって方針が混乱し、空中分解してしまう可能性が高いです。

行動基準策定は一大プロジェクトではありますが、どの方法でやるにしても、3つのステップを意識すると確実に進めることができます。

1、経営理念、ビジョン、ミッションを確認する

経営理念(ビジョン、ミッション等含む)が、最上位になり、それを実現する懸け橋として行動基準があります。したがって行動基準策定の際には、まず経営理念をもういちど見直し、その意味や実現したいことなどを明確にしましょう。

経営理念がたしかなものだから、行動基準をたしかなものにすることができます。
行動基準がぶれている場合、定まらない場合は、いつでも経営理念に立ち戻ることが肝要です。

2、その実現にふさわしい行動基準を定める

経営理念が実現した状態を描き、逆算して、必要な行動基準を定めましょう。
未来から逆算することが大切です。
たとえいまはまだその究極の状態とほど遠かったとしても、関係ありません。
「もしそれがかなっていたらどんな行動をしているだろうか?」という行動を思い浮かべて、いまからその行動をはじめていきます。未来を先取りする感じですね。

行動には「笑顔を見せる」や「整理整頓をする」のような具体的な行動レベルもあれば、ディズニーでいう「効率性の高い行動をする」やサウスウエスト航空のような「コストにつながる行動を重んじる」などある場面での考え方を定めるものもあります。

あなたの会社の経営理念や社員たちの状況などに応じて、ふさわしい行動基準を定めましょう。

3、社員やスタッフと共有する

経営理念は法律と同じようなはたらきをしますが、法律のように「お上からの押し付け」であっては機能しません。それが通用するのはコンプライアンスや規則順守に関する行動基準だけ。経営理念やビジョンの実現は会社全体でひとつになって向かっていくものであり、行動基準はできるかぎり全員が納得したり、また共感するものでなければなりません。

その行動基準にしたがうことによって、経営陣だけでなく、社員一人一人の仕事への夢や面白さや、誇りにつながるものだから、みな進んで従いたくなるのです。

経営陣だけでなく、中小企業ならばとりわけ、社員も巻き込みましょう。
経営陣だけで定める場合も、できる限りそれを選んだ理由や意味は、オープンに説明できるようにしておくことが大切です。

まとめ~行動基準は社員を変え、顧客をファンにする

ひとつになって業績向上する会社を目指し、行動基準を定めませんか?

行動基準は会社を変えます。社員を自立的な人材に成長させます。

なぜならば、

行動基準には意思があります。これがよい!という明確な価値観があります。
行動基準には基準があります。未知の問題に対したときの自分で考えるための指針になります。
高度基準には行動があります。考えるだけでなく具体的に、今ここの現場で取っていく行動があります。行動の積み重ねが会社の結果になり、結果の積み重ねが経営理念やビジョンの実現になります。

実のところ、行動基準は、それを策定するプロセスがその会社の「身」になるのですね。
策定プロセスを通して、経営理念やビジョンから具体的な日常の現場行動まで見直すことになるのですから、これほど会社のことを考えるプロセスもなかなかありません。

だからこそ社員をできる限り巻き込んでやることをお勧めしている、というわけです。

あなたの会社にふさわしい行動基準、ふさわしい社員たちで、イキイキお客に支持されていくことを心より応援しています。

P.S.
これからもブログをお届けしますのでお忘れないようブックマークしてくださいね。

執筆者紹介

オフィスオントロジー
代表 友成治由

人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家

10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるメンターメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。

哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。

経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など

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