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経営者のチェックリスト。あなたの思考は本質的?枝葉的?

あなたは、思考の向き、いつもチェックしていますか?

経営にまつわるさまざまな問題、課題は、「これが有効だ」「これは効き目がない」といったような「方法論」を外からもってくるよりも、思考の向きをチェックした方がはるかに根本的で長期的な解決になります。

「経営陣と社員がひとつになって業績向上」というビジョンを目指す場合も、もしいまそうなっていなかったとしたら、社員の資質や能力や、やり方が悪いのではなく、もしかして「そのビジョン」を叶える「思考の向きの流れ」に乗っていないだけなのかもしれません

今回は「経営陣と社員がひとつになって業績向上」を叶える「思考の向き」になっているのか、チェックしてみませんか?

目次

なぜ思考の向きのチェックが大切なのか

「思考の向き」をチェックできる“スキル”は、ビジョン実現や社員のやりがいや幸福を“もたらす”ことができる経営者やリーダーにとっては無くてはならないものといえます。

日々の課題に対してさまざまな解決手段で臨みます。とはいえ「なぜそれを選んだのか?」について、より自覚的に考えている人は少ないでしょう。

わたしたちが物事を選ぶのは、第一には目の前の問題解決のためです。しかし問題解決手段が他にもいろいろあるにも関わらず、「今回、ソレ」を選んだのは、わたしたちがもっている「思考の向き」が選ばせているのです。

「お腹がすいてきたな…」

という問題が発生した場合に、あるひとは「近くのコンビニで弁当を買おう」となるでしょうし、あるひとは「おいしい定食屋にいこう」と解決手段は変わります。思考の向きとは大げさだと思うかもしれませんが、積み重なると影響は大きいのです。

仮に「コンビニで弁当を買おう」という選択の奥に「食事は栄養より早さだ」という思考の向きがつねにあれば、食生活によって体調を崩してしまうかもしれません。
逆に「おいしい定食屋にいこう」という思考の向きが「食事は大切なものだ」ならば、食生活は万全で健康にあふれる毎日につながるでしょう。

底流にある思考の向きは、日々の判断に影響を与え、日々の判断の影響がいつのまにか大きな結果となって現れてきます。出発点は、思考の向き、なのですね。
(もちろん上記は、コンビニ・定食屋のどちらがいい、悪いの話ではありませんのでお間違いなく。)

経営も同じです。

判断が早いですとか、すぐに、効率的に実行できるなどという経営スキルの話は、二番目三番目のもの。そもそも「判断の中身」自体が誤っていたら、大変なことです。

とりわけ、「ひとつになって業績向上」という一体化組織活性と業績アップの両立を目指すならば、「何をやるか?」の前に、「それを目指す思考の向きになっているか?」のチェックが欠かせません。「思考の向き」のチェックは、「経営の向き」のチェックでもあるのですね。

「本質価値型思考」と「部分現象型思考」

ある会社があったとします。
一見すると、どちらも業績はそこそこうまくいっており、社員も頑張っているようにみえます。

しかし内実は、一方は経営者も社員もビジョンを確信しながらイキイキと日々の仕事にまいしんしています。毎日変わりつつも、目指す会社へと輪郭がはっきりしてきます。

もう一方は、たしかに売り上げも利益もそこそこですが、経営陣も社員も、明日の目標あさっての不安という感じで、やらなければやらないからやっている状態です。毎日問題があり、都度解決に奮闘はするものの、「いつまでもこれが続くのか」。

どちらも頑張っているのは確かなのですが、やはり前者は充実感や確信感にみちていて、後者はどうしてもどこかに空虚感や不安感がただようことは否めません。

そんな状態を生み出している底流にあるのが、二つの思考の向きです。
一方は、一体化やビジョン実現などを後押しする思考であり、「本質価値型思考」と呼びます。もう一方は、日々の奮闘するも今と未来がつながっていない「部分現象型思考」と呼びます。

シチュエーション別で思考法をチェック!

日々の奮闘するも今と未来がつながっていない「部分現象型思考」。
一体化やビジョン実現などを後押しする「本質価値型思考」。

比較してみていきましょう。

「ビジョンはどうやって実現させるものですか?」

「部分現象型思考」は、部分が集まったら全体になるものと考えます。
だから人でもツールでも数字でも、足りないところがあれば足して、足れば減らして、を繰り返します。ビジョン実現とは、ビジョンの量に至るまで、足りないものを足し続けようと考えます。

「本質価値型思考」は、本質が形になると考えます。
この会社にとってもっとも大切なことは何か、実現したいことは何かをつねに考え実行することで、形に現れていくと考えます。ビジョン実現とは、ビジョンという未来の全体からみて現在をデザインすることだと考えます。

「どうやって人材を育成するのですか?」

「部分現象型思考」は、欠落する部分は埋め、操作・管理しようとします。
人材育成とは、あるべきカタチへピタっとあてはまるように鋳直すようなものと考えます。人材とは部分機能です。

「本質価値型思考」は、人材のもっている最良のものを内から引き出そうとします。
人材育成とは、本人の内発的な成長を引き出すものであり、よいところを伸ばすが基本法損です。人材とは、ビジョン実現の仲間です。

「現場はどんな仕事ぶりですか?」

「部分現象型思考」は、業務を回すことが第一であり、指示指導の一丁目一番地です。現場の一番の苦痛は、自分の業務が回らないことです。だから、現場の口ぐせは「わたしの業務はなんだ?」です。

「本質価値型思考」は、ビジョン実現のためにどうしているのかが、第一であり、信頼支援の一丁目一番地です。現場の一番の苦痛は、目的や意味が見えないことです。だから、現場の口ぐせは「わたしたちの目的はなんだ?」です。

「顧客へはどうやって提案するのですか?」

「部分現象型思考」は、提案とは売る場面です。売れるものを見出し、売れるように紹介します。顧客体験は、「売るものと、買うもの」です。顧客は「自社商品・サービスを買った相手」です。

「本質価値型思考」は、提案とは選ぶお手伝いです。顧客の望む未来が適切に叶うように、選ぶ基準を伝えます。顧客体験は、「価値を実感してもらうもの」です。顧客は「最良の人生を送ってもらいたい仲間」です。

「問題が発生した!」

「部分現象型思考」は、見えている問題に対処します。迅速に、効率的に。いま、それをなくしていくことが問題解決への姿勢であり、ゴールです。

「本質価値型思考」は、見ていない「自分たちの考え方」を見直します。根本的に、内省的に、将来を見すえ、同じような現象が現れないように取り組むことが問題解決の姿勢であり、終わりなきゴールです。

「本質価値型思考」と「部分現象型思考」の違い

さあ、いかがでしたか?

場面場面で、ずいぶん思考の向きが違うことがわかりますよね。
思考の向きで、取るであろう選択肢も違ってくることは容易に予想されます。

「部分現象型思考」は、言葉でいえば、「現象」「部分」「業務」「加える」「あてはめる」「他人を見直す」などの言葉で表されます。
「本質価値型思考」は、「本質」「全体」「目的」「引き出す」「生み出す」「自分を見直す」で表されます。

「部分現象型思考」は、目の前の問題に対処しようとする思考なのですね。基本的に目に見えるいまの現象こそが真実。だからそうでないことに目を向けるのは、疑問にもムダにも感じます。しかしたまたま時流にのっているときはそれでもいいのですが、いったん方向性が見えなくなると、とたんにどうすればいいのかわからなくなります。
ボートにのって、一生懸命オールを漕ぐも、池の同じ場所でぐるぐる回っているようなものです。

一方、「本質価値型思考は」、未来からみて現在を生み出そうという思考なのですね。目指したいビジョンや大切にしたい価値観がある。もちろん今現在はそれを100%実現できてはいませんが、いつもそれを念頭におきながら、そうあろうとしています。
一流のスターはデビュー当時から一流だった、と言われます。この意味は、能力がデビュー時点で一流だったということではありません。
たとえ能力はこれからであっても、「すでに一流である」というイメージと姿勢で今を生きていたという意味なのです。

「本質価値型思考」は、見えないものこそに真実を見出そうとします。同じボートを漕ぐにしても、自分はどこに向かいたいのか? いま水流はどうなっているのか? そのためには、いまどんなオールの漕ぎ方をすればいいのか?
思考方法には、そんな「自分をみつめること」という内省があります。

まとめ~振り回されるか生み出すか

あなたの今、現在の思考の向きは、いかがでしょうか?
また会社の社員たちはどんな思考の向きをしていますか?

経営陣だけでなく、社員ともども、「ひとつになって業績向上」という組織活性とビジョンを両立できるような思考の向きになっているかどうか、見直したいものです。

思考の向きは、気づきづらいもの。
だから、それは意識的に取り組んでいく必要があります。

かくいうわたしも、思考は濁りがち。鏡を拭くように、いつも思考や、そして心の状態も整えておこうと努力をしている最中です。

部分現象型思考は、“外部”に対処する思考。
ともすると振り回される思考です。

「本質価値型思考」は、“あなたが”生み出す思考です。
あなたは、どんな未来、どんな会社をこれからつくり、生み出していくのでしょうか?

思考の向きのチェック、習慣にしたいものですね。

P.S.
これからもブログをお届けしますので
お忘れないようブックマークしてくださいね。

執筆者紹介

オフィスオントロジー
代表 友成治由

人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家

10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるメンターメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。

哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。

経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など

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