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人材育成/人材開発

急速能力開花。羽生善治さんを育てた能力開発法

目次

若手社員育成は経営者の腕の見せどころ

若い社員って、見るだけでいいですよね。

はつらつとしていて、
自分の未来を明るくしたい、
早く役に立てるようになりたい。

そんな気持ちで一生懸命。

だからこそ、
そんな若い社員たちを、もっと伸ばしてあげられたら、
会社全体がぐんぐん活気づいていきます。

若者には勢いがある。
ベテランには経験がある。

やっぱり、お互い尊重し合っている、
この合体がある会社は、どんなに強いことか。

若い社員をイキイキ伸ばせる経営は、
それだけで優良経営仲間入りです。

そんな若い社員たちに対して、
早く成長させたい、成果をあげてもらいたいときに、
ひとつの原則があります。

今日はこれがテーマ。

実はこれ、わたしは個人的には、
とても好きなテーマなんです。

若い社員が喜ぶのを見ると、
自分もエネルギーがわいてきますからね

では、

…というまえに、ひとつ。

よく若い人に対する苦言や、
嘆きの言葉を
酒場や方法で聞いたりします。
わたしももちろん違いや
ギャップを感じることも多いです。

とはいえ、

「近頃の若い者は・・・」

とわたしが感じるときは、
昔が良い今が悪いという優劣よりも、
単に違う、というくらいです。

なんと

「近頃の若い者は・・・」という言葉は
5000年前のエジプトのパピルスにも
記載されているそうです。

5000年前からおんなじ言葉を
繰り返しているくらいですから、
どの時代も、どの世代も
同じと言えば同じです。

世代でギャップがあるのはしょうがない。

だったら、ギャップをうまく
活用するのがベテランの芸ですよね。

そんな気持ちで接すると
イライラに振り回されない人として、
かえって若手も慕ってくれる。

「近頃の若い者は・・・」

と言いたくなったら、

「5000年前から同じ」

と言い聞かせるのは
魔法の呪文かもしれません。

閑話休題。

社員を早く育てる、
成果を出してもらえるように育てる
方法にはひとつの原則があります。

早く、とは言いましたが、
じっくり長期的な人材として育てる場合でも、
この原則は重要という意味では同じです。

わたしが社会人人生を送るうえで
幸運だったことのひとつは、
知らずか知ってか、
育ててくれた人たちが、
この原則でわたしを育ててくれたからでした。

自分自身の体験、
自分が部下を育てた経験、
自分が講師やコンサルタントとして
クライアントの社員に接した経験から、
ますます重要性を感じています。

では、その原則とはなにか。

それは、

「成功体験を、早く与える。」

ことです。
Early Success(早期成功)とも言います。

この原則は、重要です。

ひとつお話を紹介します。

将棋の羽生善治さん。
もちろん数々の記録、
そして国民栄誉賞まで授与された
将棋界のスーパースターです。

わたしも大ファン。
中学のころからずっとファンなので
親しみを込めて「羽生さん」と呼んでます。

以下もそれで進めさせてください。

そんな羽生さんが、
子どものときに将棋覚えたてのころ、
はじめて八王子将棋センターに訪れました。

与えられた級は、
「15級」でした。

将棋でも囲碁でも、
柔道や剣道でもそうだと思いますが、
一番下は「10級」です。
10級スタートからはじめるのが、
ふつうの習いごとです。

しかしセンター長の八木下さんは、
羽生さんのまっすぐな真剣な目を見て、

「昇級する喜びを感じてもらいたい」

と思ったそうです。

そしてあえて、
10級より下の、
「15級」という級を設定したのでした。

羽生さんは

「周りの子はやけに7、8級が多いけど、
自分は15級なんだ」

と子どもながらに感じたそうです。

しかしこれが、ドンピシャの育成法でした。

「15級」はあえて低くした設定です。
1局勝ったら、すぐに昇級、14級になります。
また勝ったら13級、12級、11級・・・
と指すたびに、級があがっていくのです。

「勝っていくよろこび」

このよろこびを、
大切な将棋のはじめの時期に、
羽生さんは自然に感じることができたのです。

そして、
将棋のおもしろさ真剣さに
磨きがかかってきたのでした。

あっというまに、段にのぼり、
小学6年生では小学生名人にもなり、
プロの道へと進みました。

「初代15級」だった羽生さんの成長を見て、
八王子将棋センターでは、
15級スタートがふつうになりました。

その結果、そのセンターからは
その後も何人ものプロ棋士を輩出しました。

名門将棋センターへと
その名が将棋界に響くようになったのです。

何かをはじめるときは、
どんなひとでも最初は初心者。
はじめての世界です。

はじめての仕事、
はじめての人間関係、
はじめての“会社組織”です。

その中で、何か月も何か月も、
できない状態やうまくいかない状態を続けていく事は、
特殊な人でない限り、
まず「心が」もたないものです。

どんなに

「頑張ればできる」
「努力を続けるのだ」
「忍耐が必要だ」



口で言われたとしても、
本人にとってみれば、
できたりうまくいったりしている
“実感”が無いわけですから、
“実感”のともなわない励ましは、
苦痛でしかありません。

だから、この原則です。

早く「成功体験」を
させてあげることです。

大きな成功でなくてもかまいません。

小さなものでも構わないですし
90%は周りがおぜん立てをして、
残りの10%だけさせてあげる。
それでも構いません。

大切なのは、
その成功体験を本人が成し遂げ、
その成功体験を周りも認めてあげる
ということです。

たとえ
90%おぜん立てしていた場合でも、
最後の10%を本人が成し遂げたら、
手柄は全部、本人のものです。

そのように経営者や上司が
きちんと認めて伝えてあげるのです。

そうすると若い社員は、

「自分はできた。
ここから自分はもっとできる。」

そのように“実感”をともなう自信ができます。

そうしてはじめて、
ひとは努力でも頑張りでも、
みずからすすんでやっていくのです。

15級から14級、14級から13級…

少しずつ難易度をあげていき、
勢いがついたところで手放します。

もちろんその後はさらに難易度もあがり、
壁に当たることもあるでしょう。

でもここまで勢いがついたならば大丈夫。
「自分はやればできる」
ことを実感できているため、
みずから努力できるようになります。

早く成功体験を実感させてあげることで、
不要な委縮感を感じづらくなり、
健全な自信ができます。
本来の力を発揮しやすくなります。

健全な自信。

見えないものではありますが、
これこそ人生の宝物です。

若い社員がベテランになり
年をとって死ぬまで、
健全な自信こそが、
彼の人生を支え続けます。

わたしたちベテランは
健全な自信を与えることこそが、
本当の育成です。

健全な自信を損なうベテランは、
はっきり、害でしかありません。

松下村塾の若い青年たちが、
自分がお偉いさんになったときにまで

「松陰先生、松陰先生」

とずっと偲び、慕ったのは、

吉田松陰が、
彼らの健全な自信を、
思いっきり引き出したからでした。

その松下村塾の存続期間は、
たった2年です。

わずか2年でも
人をとんでもなく成長させられる。

いま目の前にいる
社員たちは可能性の塊です。

ぜひあなたの手で
大きく育て上げててみませんか。

小さな成功体験。
どんどん感じさせてくださいね。

勢いがついたら、
もうこっちのものです。

P.S.
これからもブログをお届けしますので
お忘れないようブックマークしてくださいね。

執筆者紹介

オフィスオントロジー
代表 友成治由

人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家

10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるチェンジメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。

哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。

経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など

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