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組織活性化/組織一体化

「好き」の科学。社員に会社を「好き」にさせる方法

会社や自分の組織を好きになってほしい。

経営者やリーダーならば誰もが思うかと思います。

 

いろんな方策がありますが、では、そもそも「好きになる」とはどういうことか?

これを研究した本があり、とても参考になったのでご紹介します。

目次

「好き」の科学

『ハマりたがる脳―「好き」の科学』著:トム・ヴァンダービルト(ハヤカワ文庫)は、

・ひとはどんなものを「好き」になるのか?
・なぜ「好き」になるのか?
・「好き」になるのに法則はあるのか?

これらのテーマを語っています。
具体的なトピックとしては、

・オンライン映画での「おすすめ」機能はどんなアルゴリズムなのか?
・ある味覚を意図的に「好き」にさせることはできるのか?
・どんな絵画をわたしたちは芸術と感じるのか?

面白いですよね。

あなたはソレをなぜ「好き」なのですか?

わたしたちには、
「なぜかわからないけど好きな」
物事や出来事にあふれています。

たとえばわたしは将棋が好きです。
でも麻雀はそうでもありません。
将棋好きには麻雀好きも多く、
大学時代の将棋部仲間もまわりはみな
麻雀をやっていましたが、
わたしはひとり、やったこともありません。

なぜ将棋が好きなのだろう?
でも麻雀はそうでもないのだろう?

ピエトモンドリアンの絵画が好きなのはなぜだろう?
ベネチア旅行は憧れ、
マチュピチュの遺跡にはあまり心惹かれないのはなぜだろう?

野球は巨人よりも広島カープ。
ビールはスーパードライよりプレミアムモルツ。

ほかにもいろいろあります。
あなたにもたくさんの個性的な好き嫌いがありますよね。

仕事のスタイルでもそうですし。会社の文化や理念でも、
好きな会社、嫌いな会社、あると思います。

この本では興味深い考察をいろいろしています。

たとえば、こうやって冷静に聞かれると
あれこれ理由を意識しますが、
わたしたちは意識で理由を考えるよりも前に、
無意識で、「好き」か「嫌い」かを判断しています。

「なぜかわからないけど」

こうつぶやきたくなるほどに、
知らず知らずのうちに好きや嫌いはわたしたちにしみこんでいます。

「好き・嫌い」はどこから生まれるのか?

では、好き嫌いが、
生得的(うまれつきの)のものかどうかといえば、
そうでもないというのが、この本の主張。

たとえば食べ物の好き嫌いは、
小さな子供からみられますし、
あなたもそうかもしれません。

もちろん子供は苦みが苦手で甘みが得意などの、
生理学的な違いはありますが、
体が成長しても、
「特定の」食べ物は嫌い、
ということはよくあります。

実験では、食べ物の好き嫌いは、
相当程度に周りの人に影響されることがわかりました 。

親がその食べ物を嫌いだったりすると子供には伝染します。
また食べ物を「嫌いそう、まずそう」にみせても、
子どもはそれを敏感に受け取ります。

逆もまたしかり。
親が「おいしそう」に食べているものは
やはりおいしく食べるようになりますし、
たとえ親は嫌いでも、周りの小さなお友達が
みな好きそうな顔をして食べているところに参加させると、
やはり好きになっていくそうです。

もちろん親の中には、
「子供の前では嫌いなところなんて見せていない。」
という方がほとんどでしょう。

しかしながら子供は、
単に意識で分かる姿や言葉だけでなく、
意識はされない本当にささいな部分で感じ取っているのです。

納豆が嫌いな人は、
たとえ「納豆はおいしいよ」と
笑顔で言葉で話しても、
本当に納豆が好きな人の笑顔や言葉の
肌理(きめ)やトーンとは違ってくるものです。

その「曰く言葉にしがたい感覚」を
超繊細に子どもは-わたしたちも-感じ取っているわけです。

つまり好きや嫌いは、
明確に意識されていなくても、
実はその原因は、
すでに自分の人生の中で体験しているということなのですね。

無意識の単純接触効果

ほかにも実験があります。

ある似たような絵を2組用意します。
誰も知らない無名の絵です。

大学の授業ではスライドを見せながら講義したりしますよね。
ある絵とは全く関係ない授業の中で、
スライドを展開する中で、
ほんの一瞬、意識に残らない程度。
ほんの0コンマ何秒だけ、2組の内のある1組を映し続ける
ということを一年間やってみたそうです。

もちろん学生は、
映されていたことさえわかりません。

1年後学生たちにアンケートを取りました。
2組の絵のうちどちらが好きですか、と。
うち1組は、スライドにまぎこませ続けた絵です。

2組とも、ぱっと見は似たような絵です。
アンケートは分かれるのではないかというのが
当初の予想でした。

しかし、蓋を開けてみると
圧倒的な人数が、
無意識に見続けた絵の方を好きと答えたのでした。

たとえ0コンマ何秒で
意識に残ることなど全くなかったとしても、
わたしたちは
何度も見たり聞いたりしたものを好きになる、
という性質があるのです。

つまり、
わたしたちがなぜか好き嫌いを感じる場合、
これまでの人生の中で、
そのモノや͡コトに関することがらを、
意識、無意識関係なく、
多く接触してきた可能性があります。

これはどういうことを意味するのかといえば、

「わたしたちはなじみがあるほど好きになる。」

ということです。

単純に、接触が多くなると好きになるという
分かりやすい「好き」の法則のひとつが導かれます。

おもしろいですよね。
好きにさせたいならば、
単純に何度も何度も接触回数を増やす。

わざわざ「好きにさせよう」
なんて意識づける必要もありません。
ほんの軽くでも、無意識でもいいから、
数を増やすことが大切、ということがわかります。

「好き」は多面的情報でつくる

もうひとつ紹介したいお話があります。

それは、
「好き」は多面的に学習するものでもある、
ということです。

わたしたちは、
単に接するだけでなく、
あるモノやコトを知れば知るほど、
多面的に知れば知るほど好きになるという法則です。

「りんご」

と聞くと、あの甘酸っぱさや風味、触感などが
合わさって、「りんご味」を思い浮かべますよね。

でも、科学的に「味覚」だけにしぼれば、
実は「りんご味」なんて味覚は存在しません。

舌には甘味、酸味、苦味、塩味、(うま味)の
単純な区別しかないからです。

では、どうやって「りんご味」がわかるかといえば、
舌だけでなく、鼻腔にて香りも同時に感じ取っているからです。
他にも触角でも感じ取っていますし、視覚でも見て取っています。

つまりこれら、人間のもつすべての感覚が
複合的に連携してはじめて
「りんご味」という輪郭をもって現れているのです。

鼻をつまんで目をつむって食べると味がわからなくなりますが、
以上の話から明らかです。
そもそも人間は「~(りんご)としての味」というものを、
体全体の五感をつかってつくりあげているからなのでした。

五感だけでなく、
わたしたちは情報量が多ければ多いほど
その対象に興味をもち、
好きなっていきます。

「りんご」と聞いただけでは何も感じなくても、

「このりんごは、糖度はあのマンゴーにも匹敵する」
「このりんごは、無農薬で栽培された」
「このりんごは、モーツアルトをかけて育てられた」

このような情報を知ると、
聞けば聞くほどそのりんごが気になり始め、
いつのまにか期待から好きに変わってきます。

このとき、
わたしたちの中では
単なる「果物のりんご」ではなく
「大切に育てられた極上のりんご」
としてより深い意味をもったものになっているわけです。

そのモノやコトを
五感でも知識でも複合的に感じられていくほどに、
わたしたちは好きになっていきます。

「会社」を好きにさせる方法

「会社が好きになる」

も、同じように応用できます。

もし社員と関係を、
労働―給与という、
一面的な関係でとらえて、
そのような関係でだけ扱っていると、
たとえその給与が高給であったとしても、
社員が会社を好きなることはありません。

社員にとっては
「給料をもらう場所」
以外の情報(意味)がないからです。

しかし、

社長や同僚たちの情報―それは成功談も失敗談もー、
会社の歴史、
商品開発へのこだわり、
お客様からのさまざまな評価、
イベントや飲み会での会話、
自分の私生活への気遣い、
地域とのかかわり

・・・

ほかにもたくさんある、
そんなさまざまな情報(意味)を得ていく中で、
「会社」という存在が
「わたしの一部としての会社」という
輪郭がはっきりした
好きな会社になっていくのです。

わたしたちは
「意味で生きる」生き物です。

その意味とは、
かならずしも一面的に学ぶものではありません。

感覚でも知識でも
そこで過ごすあらゆる経験から感じてくるものです。

もし
「会社が好きな人が少ないな」と感じられた時には、
一見「無駄だ」と思われるコミュニケーションや、
「熱く会社の歴史を語る」とか
「おせっかいな元気づけ」など
いろんな感覚、経験をしてみることをお勧めします。

社員との接触を増やして、
社員が感じる会社への意味を多面的に増やしていく。

これからの指針にしてみてくださいね。

まとめ~あなたらしい、あなたの会社らしい組織活性化を

何よりもまず経営者自身が
「会社が好き」という思いでもって
その姿を見せながら、
毎日を過ごすということです。

親をみて子供が好き嫌いを感じるように、
社長や経営者を見て、
社員は会社や仕事を好きになるかどうかを決めます。

「好きになる方法」

あなたの会社らしい取り組みを
いっぱいしてみてくださいね。

可能性はあらゆるところにあります。

P.S.
これからもブログをお届けしますので
お忘れないようブックマークしてくださいね。

執筆者紹介

オフィスオントロジー
代表 友成治由

人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家

10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるメンターメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。

哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。

経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など

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