Blog ブログ

Blog

HOME//ブログ//違いで変わる。直線的問題解決法とループ的問題解決法

問題解決法

違いで変わる。直線的問題解決法とループ的問題解決法

人や組織の問題はひと筋縄ではいかないことが多いですよね。

仕事が繁盛したと思ったら社員がやる気を失って回らなくなったり、良かれと思って教えると指示待ちになったり。

仕事や業務の問題解決ならば天才的な経営者でも、人の問題になるととたんに悩みが深くなることはよくあります。

狙った通りの結果と反対になることもあり、人の問題はストレスがたまります。

なぜそのような事態になるのか。

今回は、発生するさまざまな問題解決について、とくに人や組織の問題に臨むときに効果的で覚えておきたい問題解決指針を考えてみましょう。

目次

人や組織の問題解決は「人間の器」だけで大丈夫?

ビジネスは問題解決の連続です。
商品開発や改善をしたり、業務プロセスを改善したり、問題があれば原因を分析して、適切な解決策を実施して会社を回していきます。大きいところでは経営上の問題、細かなところでは目の前の仕事のやり方の問題まで、さまざまです。

「問題解決」というテーマは、企業研修でもメインテーマのひとつです。わたし自身も研修講師ともなるわけですが、経営者から一般社員まで、問題解決の良し悪しが会社の良し悪しにも直結するから大切です。

話はそれますが、コンサルタントは「問題解決のプロフェッショナル」としてアピールするのですが、それだけビジネス活動の根幹を支援したい、できると思っているわけですね。

しかし、個別業務はうまくいく人も、人や組織のマネジメントになると苦手な方、なかなかうまくいかない方も大勢います。
さまざまな原因が考えられています。ひとつには人や組織の問題は「人間の器」だと想定され、人間の器を大きくするためにさまざまな学びも重ねたりします。

もちろん「人間の器」はもっとも大切だとわたしも考えます。
わたしもそうなりたい一人です。

ただ、もう少し落とし込むと、より「人間の器の大きい」ひとが持つ思考力に近づけそうであり、日々人や組織の問題に向き合っている経営者のお役にも立てそうです。
以下、それを「問題解決法の違い」としてみていきます。

世の中にはさまざまな問題解決法があります。
しかし突き詰めていえば、2つの問題解決法に分けることができます。

ひとつは①直線的問題解決法。
そしてもう一つは、②円環的(ループ的)問題解決法です。

①直線的題解決法とは

ある業務にトラブルが発生した。
その場合、わたしたちは、意識的、無意識的にかかわらずこういった思考の道筋をたどります。

(1)業務がスムーズに回っている状態がある(理想の状態)
(2)現状は回っていない(現状認識)
(3)トラブル発生だ!(問題の認識)
(4)原因はなんだ?(原因分析)
(5)解決策(解決策)

問題とは、一般的に「理想の状態と現状とのギャップがある状態」を指し、このギャップを解消することを問題解決と言います。

そしてこのように、解決策がそのまま良い結果をもたらしてそのまま理想の状態になるという、原因(解決策)と結果が(理想の状態)が直線でつながる問題解決法を、「直瀬的問題解決法」と言います。

シンプルですが、実際上記の5つの思考ステップをしっかり意識的にやるだけで、大方の問題は解決します。もしこの箇所を読んだら、研修代わりに、社員にもお伝えしてあげてくださいね。
プロやベテランや天才的な人たちは、この5つの思考ステップを瞬時に行って解決策を導き出しているわけです。

②円環的(ループ的)問題解決法とは

ただ、①直線的問題解決法では、解決しきれない、かえって悪化してしまう問題というものあります。

たとえば、「仕事が繁盛したからもっと繁盛するように社員に頑張ってもらいたい」というケース。「社員が頑張っている状態」が理想の状態であり、現状そうではなくギャップを感じているから、叱咤激励という解決策で頑張ってもらおうとします・

ところが、叱咤激励を行なうことで、社員がかえってやる気を失う話はよくあります。

「何度も言われると嫌だ」
「体が疲れて、思考力も高まらない」
「会社がぎすぎすしてきた」

そういった理由をもとに、経営者の願う結果とは逆になってしまうわけです。
しかし複雑なのはここからで、経営者が社員のやる気の低下に、自分もやる気をなくして叱咤激励をやめ手放した瞬間、社員は、

「自分で判断してどんどん動ける」
「体を休めたら、効率的に頭がフル回転した」
「自由闊達になって、コミュニケーションが進んだ」

という、またもや逆の結果が生まれてくることも本当によくあります。

上記のような問題は特に人や組織の問題によくあることす。
叱咤激励が社員のやる気を奪い、思わずも叱咤激励を手放したら、社員のやる気が戻った。

つまり原因と結果がつながっており、円のように、お互いに影響を与えながらぐるぐるまわっているのですね。

これらの問題状況に対して、原因と結果がお互いにつながっていることを意識しながら、叱咤激励の内容や強さやタイミングなどを最適にして、らせん階段を上るように、問題解決をしていくことを、「円環的(ループ的)問題解決法」と呼びます。

2つの問題解決法の違い/特徴

①直瀬的問題解決法と、②円環的(ループ的)問題解決法の違いを知ることで、問題解決の幅が広がり、業務の問題と、人や組織のマネジメントの問題を、上手につなぎながら目指すビジョンや目標に向かうことができます。

①直瀬的問題解決法は、「限定的」です。
問題の影響範囲が限定されて、その範囲だけで完了する場合に有効です。

どちらかといえば、「業務的」です。
業務プロセスであったり、仕事の手法であったり、物理的なツールであったり、あまり人間的な要素が関係しない純粋な業務問題で有効です。

また「即応的」です。
解決策がすぐに結果となって現れ、良い結果がでれば正解、悪い結果がでれば間違いと、一対一で、結果もわかりやすい問題に適しています。

長期的な懸念もなく、業務を効率的に生産的にどんどん進めたいときには、①直線的問題解決法を主体に、ひとつひとつハードルを越えるように、運営していきます。

一方、②直瀬的問題解決法は、「広範囲」です。
経営的な大きな視点でみた問題や、多くの人や出来事を巻き込む問題では、その範囲のさまざまな要素が影響を与え合っているため、それらを大きく「円」で見る必要があります。

どちらかといえば、「人間的」です。
人間の問題が円環になるのは、人間には気持ちの上下や体力の限界などがあるからです。感情の作用と反作用で生きているからともいえます。やりすぎると反発し、やらなければ何もしないなど、人間の問題は、この感情の揺り戻しやバランスを考慮する必要があります。

また「時間的」です。
円環的な問題では、解決策をほどこしても結果が出るまでに時間がかかることが良くあります。先の例では、叱咤激励をしたからすぐにやる気がなくなるようなことはなかなかありません。「それが続くと」そうなることもあるという形で、良くも悪くも効果が現れる時間を見込む必要があります。人や組織の問題で失敗しがちなのは、取り組んだ解決策の効果に時間がかかるにかかわらず、それを待ちきれずに辞めたり、判断をくだしたりするからなのですね。

経営的な中長期視点をもって、業務プロセスを大きく変えたり、人も組織も最適化して持続成長をめざしたいときには、②円環的(ループ的)問題解決法は大いに効果を発揮します。

先に、「人間の器」が大きい人の思考法という話をしましたが、そのような人は、この円環的(ループ的)思考法で物事と考えていると言えます。
より視野を広く、より長期的に、よりかかわる人間の幸福を考えるためには、円環的(ループ的)思考法を意識しておくことが大切です。

(余談ですが、古来、思考力の行き着くところ、太極図であったり、「歴史は繰り返す」であったり円環でものごとを表現してきました。)

全員で会社全体視点で問題を認識できるようにする

円環的(ループ)的問題解決思考は、代表的なところでは、要素をつなげて考えるシステム思考などがあります。
わたし自身、コンサルティングではシステム思考を活用しつつ、問題を円環的(ループ的)に見える化しながら企業の課題に取り組んでいます。

実際、円環的(ループ)的問題解決思考法のいいところは、普段は目の前の業務の部分問題で考えている一般社員も、経営者と同じ視点を持てるということです。
自分のひとつひとつの仕事は、会社全体の円環(ループ)から見て、どのような位置づけであり、どのように影響を及ぼすのかを理解しやすくなります。

組織マネジメント、組織活性化プロジェクトなどを行う際に、円環的(ループ)的問題解決思考を社員や、当該チーム全員で共有することで、社員が「役割」を認識するようになります。
「会社はひとつの大きな環である」という視点から、自分の仕事ぶりを見直しやすいというわけなのですね。

まとめ~問題解決思考を意識して使いこなす

問題解決は、ビジネス活動の根幹です。
日々の専門的な知識を利用した対処法も大切ですが、このように無意識に行っていた「問題解決思考」をすこしでも意識的に社内で学び、共有化しておくと、未知の場面で役に立ってきます。

多くの種類は必要ありませんので、「これだ」というものを見つけてみてくださいね。

少なくとも、①直線的問題解決法、②円環的(ループ的)問題解決法の2つの違いを意識しておくだけでも、問題への認識は変わってくるはずです。

人や組織を元気にしながら、どんどん業績向上していく未来を応援しています。

こちらをクリック



P.S.

問題解決力をアップする
トピックをこれからも
ブログでお届けしますので
お忘れないようブックマークしてくださいね。

人材育成や組織活性化をもっと
全社的に取り組むことをお考えの時は、
無料相談があります。
ご遠慮なくご相談ください。
↓↓↓

執筆者紹介

オフィスオントロジー
代表 友成治由

人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家

10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるメンターメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。

哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。

経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など

SHARE
シェアする
[addtoany]

ブログ一覧