日本の会社の現状。熱意あふれる社員の割合調査
組織活性化や人材育成を考える際の、現状把握とこれからの取り組みにとても参考になりました。
自分の強みを知るストレングスファインダーで有名な、アメリカのギャラップ社が、2017年に全世界139か国、約1300万人のビジネスパーソンにむけて調査をしました。
熱意あふれる社員(エンゲージメントが高い)の割合が、日本はなんと139か国中132位でした。
調査結果は、「熱意あふれる(エンゲージメントが高い)」「熱意が低い(エンゲージメントが低い)」「全く熱意がない」で公表されました。
目次
- ○ ランキングトップ国の「熱意あふれる社員」
- ○ 日本の「熱意あふれる社員」の割合
- ○ 最下位レベルだからこそチャンス!
- ○ 意欲を発揮するための12のリスト
- ○ あたりまえのことを意識してやるだけいい
- ○ まとめ~熱意あふれる人があふれる会社へ
- ・執筆者紹介
ランキングトップ国の「熱意あふれる社員」
全世界の平均は、
熱意あふれる社員…15%
熱意が低い社員…67%
全く熱意がない…18%
となりました。
トップのアメリカとカナダ。
その割合は、
熱意あふれる社員…31%
熱意が低い社員…52%
全く熱意がない…18%
つづけてラテンアメリカ諸国が
熱意あふれる社員…27%
熱意が低い社員…59%
全く熱意がない…14%
こうやってみると、ビジネス先進国のアメリカは、たしかにはたらく環境づくりや働く人の心理学研究でも世界では長があるから納得できます。この統計データでさえ、アメリカのギャラップ社のものですから、ビジネス、ということに関しては、わたしたち日本人が思う以上に大切にしている文化でもあるのでしょう。
ラテンアメリカも面白いですよね。
ステレオタイプなイメージですが、ラテン的な陽気な明るさを感じてしまいます。
大半を占めるのは真ん中の熱意が低い社員ですので、「はたらく」ということについては、人類はまだまだ研究余地がありそうですね。
日本の「熱意あふれる社員」の割合
さて、気になる日本、139か国中132位、最下位レベルの日本はどうかといえば、こんな割合でした。
熱意あふれる社員…6%
熱意が低い社員…71%
全く熱意がない…23%
熱意あふれる社員が6%、アメリカの5分の1…
衝撃でしたが、どこか納得させられるものもありました。
日本人は勤勉だと言われてきました。
しかし「会社が好きか?」と聞かれて、「はい!」と答えられる人はどれだけいたでしょうか?
月曜日になると「サザエさん症候群」で、途端に気分が落ち込み調子が悪くなる人たちが多かったり、インターネットでは「はたらくと負け」なんて言葉が流行ったり。
勤勉の裏には、我慢強さでなんとか頑張っている人も多いのでしょう。
ちなみに、東アジア諸国平均の割合は、以下の通り。
熱意あふれる社員…6%
熱意が低い社員…74%
全く熱意がない…20%
こちらも最下位レベル。
日本と似たり寄ったりです。
こうやって俯瞰すると、一概に部分的にこれだとはいいがたく、世界の地域のはたらくことに関する文化的要因も大きくかかわっているようにも思えます。
最下位レベルだからこそチャンス!
ともあれ、わたしは日本が大好きです。
頑張っている人を見ると、つらそうな顔ではなく、イキイキしてほしいと心かが願っています。
だから、この統計結果は、「チャンス!」だとも思いました。
「仕事や職場を好きになる余地があふれている!」
いまもし最下位レベルなら、もう上がっていく可能性しかありません。
熱意あふれる社員が増えるということは、それだけ会社や組織が活性化し、創造性や生産性もあがっていきます。辞める社員も減るでしょうし、ひとりひとりの気持ちが上向きますので職場のメンタルヘルスの問題も減っていきます。
ここまで統計がはっきりしていますから、かえって取り組み方針は明確です。
「もっと熱意あふれる社員が増える会社にしよう」
では、どうすればできるのでしょうか?
意欲を発揮するための12のリスト
今回ギャラップ社が統計のために用いた質問が12個あります。
Q12と呼ばれているのですが、これらの質問に当てはまるかどうかで、熱意が高いか低いかを調査したものです。
逆に言えば、熱意が高い社員を増やそうとおもえば、このQ12を意識した取り組みをすればいいということでもあり、「意欲を発揮するための12のリスト」とも呼ばれています。
Q12は、これらになります。
Q1:職場で自分が何を期待されているのかを知っている
Q2:仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
Q3:職場で最も得意なことをする機会を毎日与えられている
Q4:この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
Q5:上司または職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれているようだ
Q6:職場の誰かが自分の成長を促してくれる
Q7:職場で自分の意見が尊重されているようだ
Q8:会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
Q9:職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
Q10:職場に親友がいる
Q11:この6カ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
Q12:この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった
いかがでしょうか?
ひとつひとつは、決して難しいものではありませんよね。
やろうとおもえば、すぐにでも取り組めることがいくつもあるでしょう。
しかも、ハード的なものはひとつもありません。
だから、わざわざお金をかけてオフィスを変えたり、モノをそろえたりといった対策する必要もありません。
すべてソフト的なもの。つまりコミュニケーションや社内文化ばかりです。
つまり仕事や職場であろうと、プライベートであろうと幸せの種類には違いがありません。人間的に幸せだと思うことは、やっぱりどこにおいても幸せなのです。
自分がやりがいを感じることをやって、ちゃんと役に立っている実感があって、周りのみんなから認められて、いい関係を築けて、成長できるよろこびがある。
これらを愚直にやっていくだけです。
あたりまえのことを意識してやるだけいい
このように言うと、
「そんなことはわかっているよ、やっているよ」
と思う方も中にはいるでしょう。
ならば、あと少し、意識的に、その取り組みを増やしたり強調したりしてみてはいかがでしょうか?
もっとすばらしい会社になるはずです。
あたりまえのことは、わかっていると思うだけに、気が付いたら放っておきになりがちです。Q12を見て、もういちど意識的に取り組みを見直してみると、意外にもっとできることは出てくるものです。
ハード的な対策は資金量などが制約になりますが、ソフト的なものならば、成約はわたしたちの意思次第です。
これまでの日本は、「はたらくことはあたりまえ」「はたらくことがつらいのはあたりまえ」という意識があたりまえになっていたと感じます。
しかし、その意識を、
「はたらくって、ほんと素敵!」
「はたらくなら、楽しく働こう!」
「つらいことがある? ならば、つらいことがなくなるようにしよう!」
すこしでも、「働くって、いいよね」の方向に変えるだけで、6%はすぐに、8%、10%くらいにはあがっていくのではないかと思うのです。
たかだか数パーセントならば、できると思いませんか?
まとめ~熱意あふれる人があふれる会社へ
社員の活力は、創造性や生産性のみなもとです。
やっぱり、イキイキしている状態の方が、頭はフル回転しますし、根性だって出てきます。
熱意あふれる社員があふれる会社づくりは、もしこれまであまりメインで意識していなかったとしたら、これからは意識的にやろうと決めるだけです。
Q12など、指針はありますから、参考にしつつ、できることからはじめていきませんか?
社員みんなが月曜日から
「おはようございます!」
笑顔で言い合う会社になることを応援しています。
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執筆者紹介
オフィスオントロジー
代表 友成治由
人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家
10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるメンターメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。
哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。
経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など
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