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リーダーシップ

社長はもっと語れ。社員は語りを聞いて育つ

目次

社長の社員に対する影響力

大企業と中小企業の違いは、
社長と社員の距離が近いことです。

それだけ社長の影響力が高く、
それだけ社員を育てるにもやりがいがあります。

社員は、なんだかんだと、
社長の一言一行に影響を受けて
仕事を上達させていきます。

わたしは中小企業の社員の出身です。

その会社は当時ベンチャーで、
上場しようとしていましたが、
やはり社長との距離が近い会社でした。

わたしは新入社員時代、社長より

「一番できない新入社員」

と直接言われました。

大企業の社長がそんなことを一社員に言ったら
たとえ冗談でも、今ではパワハラものでしょう。
社員は自信を亡くし、病んでしまうかもしれません。

中小企業だから良いというわけではありませんが、
わたしがその後頑張ることができたのは、
その言葉に、「距離の近さ」を感じたからです。

微妙なニュアンスで伝えづらいのですが、
親しいものに声をかけるように
社長流の言葉で伝えた、ということが
伝わっていたのでした。

いまでもそのときの様子は、
周りの風景や時間帯も覚えていますし、
言葉を受け取った感触も覚えています。

同時に、
その後も頑張っていることは
見捨てることもなく、
折りに触れ励ましの言葉もいただきました。

そのひとつひとつも覚えています。

もうそのころから20数年たっていますが、
やっぱりずっと覚えています。

わたしが、研修やコンサルティングやその他で
お話することの何割かは、
実際に自分が見聞きし吸収した言葉ですから、
いまもその影響力を感じます。

社員は社長を向いて仕事している

セオリー通りでいえば
仕事をするもの、顧客の方を向くべしと
言いたくなりますが、
やっぱり社員が真っ先に見ているのは社長です。

もうそれは仕方がありません。
頭では顧客から対価を得ているとわかってはいても、
実際に評価され給料をもらうのは社長からです。

理屈ではなく動物的な本能なのです。

だから、社長は、
その影響力を自覚しなければなりません。

悪用することもできますし、
社員を世界を変える人間へ育てることもできます。

そんな影響力をもった「社長」という立場ですが、
わたし自身の経験だけでなく、
わたしがクライアント先で体験した実例でいえば、
影響力があるのは、公式的なことばよりも、
むしろ個人的な思いや言葉の方が印象に残り続けます。

わたしの出身企業の社長は、
自社製品には誇りがありました。

自分自身の製品には、
お客様の思う以上にお客様のために役立つ
こだわりを製品にこめており、
かならず顧客の価値になるという自負がありました。

ある大手の商談客が、
会社が小さいからという理由で
当方の製品を見下したような発言をしたときに

「もう、おたくには売ってあげません。」

と、席を立って退席したエピソードは
社内では有名でした。
(実際は、もっと“激しかった”のですが…)

でもそのエピソードが社員に共有され、
わたしたちは自社製品への誇りをもつことができ、
たとえ大手顧客であっても、競合が大手企業であっても
臆することなく堂々と提案することができました。

あるクライアント企業では、
不器用な社長のために、
わたしが社員の前でインタビューして
社長や会社のこれまでの歴史や思いを
語ってもらいました。

どうしてこの会社はできたのか?
創業当時はどんな苦労があったのか?
一番大切にしているこだわりはなんなのか?
どんな「おバカな」エピソードがあるのか?
どんな失敗をしてきたのか?


誰かが合いの手を入れると
言葉は出てくるものです。

そのようなことを、
切々と語っていただきました。

社員のそのときの感想は、
何年もいた社員でさえ、

「はじめてどんな会社なのかわかった」

と述べていたくらいです。

社長のこだわりは、社員のこだわりになる

社長がもっている思いやこだわりなどは
社長にとっては当たり前すぎて、
ついつい語っている気になっているものです。

しかし実際は、それほど言葉にもなっておらず
社員にはまったく伝わっていないことがほとんど。

だから、ときには
社長が不可解に思えたりして、
コミュニケーションギャップが起こったりもします。

もったいないですよね。

社長が自分や会社に思いやこだわりがあるように、
実は、社員も今自分が働いている場所の
思いやこだわりを持ちたいと思っています。

ただ仕事をして給料を稼ぐ場所というだけでなく、
もっといろんな意味を持っている場所であると感じたいし、
自分のものにしたいと思っています。

だから社長のこだわりや思いというのは、
社員にとってもこだわりや思いになっていくのです。

思いやこだわりがわかればわかるほど、
社員の誇りにもなっていきます。

わたしも、
社員時代を過ごしてきましたから
よくわかりますが、
そういった思いやこだわりって話したくなるんですよね。

久しぶりに会った同級生と
仕事の話になったときなどに

「うちの会社って、実はさあ…」

なんて、自分がいかにいい会社で
働いているかアピールしたくなります。

またわたしは営業職でしたから、
お客様先で話すのは、
そんな思いやこだわりです。

ときに熱く、
ときに面白おかしいエピソードで。

それでお客様が

「へえー、すごいね~。そうだったのか―」

そうやって驚いたり
関心をもってくれると
自分のことのようにうれしくなるので、
次から次へと言葉が出てきたものでした。

そのひとつひとつが、
わたしという人間に
仕事の意味を教えてくれ
社会人として育ててくれたのです。

社長の語りが人を育てる

社長はもっと思いやこだわりを話しましょう。

朝礼でもいいですし、
ランチや飲み会でもいいです。

もしかしてお説教のときかもしれませんし、
社員を励ましているときかもしれません。

おりにふれ話しましょう。
意識的に話しましょう。

繰り返しますが、
社長の社員に与える影響力は甚大です。

なんやかんやと、
社員は社長の方を向いて仕事をしています。

社長の一言一句を
材料にして仕事の意味を覚え、
自分自身を工夫させていくのです。

もっと語りましょう。

社員との距離が近い中小企業が
人を育て、活性化するための
大いなる強みなのですから。

P.S
これからもブログをお届けしますので
お忘れないようブックマークしてくださいね。

執筆者紹介

オフィスオントロジー
代表 友成治由

人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家

10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるメンターメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。

哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。

経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など

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