会社風土改革。価値創造社員を輩出する3つのポイント
ただ商品をつくり、モノを売り、事務処理をする社員ではありません。
会社全体の価値が高まるために、いつも頭と心を働かせている社員です。
中小企業なのに価値創造人材がいないとしたら、「それは、損失ですよ」と訴えたい。
目次
- ○ 中小企業は「価値創造人材」で成長の余地だらけ
- ○ 「価値創造」でまるで変わった会社
- ○ 「価値創造」とは「やり方」の問題ではない
- ○ 「価値創造人材」が育つ会社になる3つのポイント
- ・①「価値創造」へ頭と心を向ける
- ・②「考える」を文化にする
- ・③チャレンジは善、失敗は財産
- ○ まとめ~「価値創造人材」こそ組織活性化の要
- ・執筆者紹介
中小企業は「価値創造人材」で成長の余地だらけ
「価値創造人材」がひとりでもふたりでも多くいれば、中小企業は成長の余地だらけになります。
なぜならば大企業は、ちょっとした創意工夫は大勢の声にかき消されることが多いですし、たとえやっても会社のボリュームに比較して目立たないことがほとんどです。
一方中小企業のいいところは、ひとつひとつ創意工夫のインパクトがデカいことですから、価値創造人材が出てくるたったひとつの
「こうすれば会社はもっと価値が高くなる」
が、ブレークスルーになることは珍しくありません。
社員ひとりひとり、それぞれの現場を担当しています。
それぞれの現場で、価値創造していけば、社員の数だけ知恵や創意はかけ算です。
成長の可能性だらけにあることは間違いありません。
価値創造というのは、スティーブ・ジョブズのような天才的なアイデアをいうのではありません。
いまよりも、価値のレベルや価値の次元が、ほんの1ミリでも変わることを言います。
たとえば、いままで8時間でできていた作業があったとしましょう。
価値創造がない会社ならば、社員を追い立てて8時間で終わらせるでしょう。
しかし、追い立てることを辞めると、またすぐに8時間以上かかってしまいます。
8時間で終わらせるために、何度も言い聞かせたり管理を強化したりし続けるしかありません。
これは目標達成行動ではありますが、価値創造をしているわけではありません。
同じところをぐるぐる回るハツカネズミのようなもので、どこかで社長にも社員にも疲弊や、「ほどほどでいい」という倦怠感が出てきてしまいます。
価値創造は、頑張って8時間で終わることを、創意工夫をすることで、7時間で終わらせられるように知恵を絞ることです。
または、そもそも8時間かかる作業を辞めても、それ以上の生産性や収益があがるように知恵を絞ることです。
「価値創造」でまるで変わった会社
クライアント先でこういうことがありました。
その会社の商品は専門性が高く、よく顧客からの問い合わせ電話がありました。
社員は問い合わせには丁寧に答えていい働きをしています。
いい働きをする社員だけに、とても頑張ります。
パッとみる限りは、どんなときでも笑顔で対応するいい社員に見えます。
しかし問い合わせが重なったり増えたりすると、手が回らなくなります。
問い合わせの回答にも時間がかかるようになりました。
見えないところで、その社員も疲弊を感じ、顧客満足度にもじりじり下がってきていました。
でも専門性のある問い合わせ対応ができる人材はいなく、そもそも小さい企業ですので、代わりをするにも、他の社員も自分の業務で手一杯です。
そこで社員たちは知恵を絞りました。
どうせ頑張るならば、ただ労働力を増やすのではなく、知恵や工夫に頑張ろうと。
試行錯誤をして、たどり着いたのは、答えをいえば単純なものです。
しかしこれがブレークスルーになりました。
やったことは
「よくある問い合わせは、Q&A集にまとめて、ホームページの載せた」
でした。
それにより、問い合わせ顧客の7割以上はサイトを見ることで、自分で解決できるようになったのです。
残りの3割はサイトだけでは回答できませんが、その社員に余裕ができましたのでで、しっかりしらべて早く回答することができるようになりました。
さらにいえば、他の社員たちも簡単な問い合わせ対応ならば、サイトを紹介するだけですので、電話の代わりができるようになったのです。
答えをいえば単純なものですよね。
でも、いままでその会社では、当たり前ではなかったのです。
だれも気付いていなかったし、問い合わせ対応社員の頑張りだけを頼りにすることを当たり前にしていたのです。
営業や販売でも同じですね。
売れないことを個人の頑張りだけに求めるだけならば、とてももったいない。
せっかく頑張るならば、いまの1割2割でも「価値創造」に頭や心を向けてみませんか?
ちょっとした仕掛けをしたり、これまでのプレゼン方法を変えたりしただけで、見込み客に刺さり、カンタンに売れることはよくあります。
あなたの会社にも、「あたりまえ」を見直すだけで、業務や売上にブレークスルーを起こせることがきっとあるはずです。
「価値創造」とは「やり方」の問題ではない
もちろんここで間違えてほしくないことは、Q&Aをつくったり、営業方法を変えたりという「やり方」が大切なのではありません。
あたりまえのことにメスを入れ、「価値創造」の方に頭と心を向けた、その思考転換が大切なのです。
いったん、新しい価値ができると、それがスタンダードになってきます。
人間の頑張りだけでQAをやることがあたりまえだったという基準は、サイトを活用することで新しい事務処理の価値の基準ができました。もうそれ以前には戻れませんよね。
価値のレベルが上がり、価値の次元が変わったのです。
そうすると、社員たちは次は、
「今よりもっといい価値を創造しよう」
という、意識になります。
それらが、たとえ1ミリメートルでも毎日重なると、3ケ月半年前と比べても、まったく新しく高い価値をもった会社になっています。
価値創造人材は中小企業にこそ必要なのですね。
「価値創造人材」が育つ会社になる3つのポイント
ポイントは3つです。
①「価値創造」へ頭と心を向ける
②考えることを文化にする
③チャレンジは善、失敗は財産
①「価値創造」へ頭と心を向ける
ひとつめは、社員の働き方の意味を「価値創造」へと変えていきましょう。
新しい価値、いまよりも高い価値をつくっていくことこそが「仕事」であるという意識をつくっていきましょう。
意味を意識するということは重要で、
「仕事とは業務を回すことである」という意味で社員たちが仕事をとらえていると、どんなに発破をかけても、「業務を回せば仕事は終わり」のままです。
かえって、「業務はちゃんと回しているのに、なんで文句を言われるの?」なんて、不満につながりかねません。
まずは社内で、「価値創造こそ仕事である」という意識へ、頭と心を向けていきましょう。
②「考える」を文化にする
ついつい仕事とは、行動することであるととらえがちです。
でも、行き過ぎた行動主義はかえって弊害なのです。
つまり、価値があろうとなかろうと、社員はただ動いて頑張るところをみせれば仕事をしていると自己満足しがちで、根本的なブレークスルーが起こらなくなるのです。
また、いまの業務をうまく回すことを「考える」とも言いません。
たとえば営業ならば、
「今日は、〇件回るから、▲▲さんと●●さんに連絡しよう。××の資料を持って行って、□時ころには会社に戻れるようにして…」
こういったことを高速で組み立てたりしますが、ここでいう「考える」ではありません。
なぜならばこれらは、あくまでもいまの営業の現状を「段取り」ではありますが、とくに新しい価値を生んでいるわけではないからです。
「考える」とは、新しい価値を創造するように頭を働かせることを言います。
たとえば、
・毎日〇件回っているけど、プラス1件回れる方法はないか?
・そもそも、マイナス1件しか回れなくても売り上げがあがれるようにできないか?
・一見あたりの売上を、いまの3倍にできないか?
・部の売上が10倍成長するためには何をすればいいだろう?
そんな風に、営業として今とは違う新しい価値を創造していくようにすることです。
「考える」を文化にするとは、上記のような営業の価値の根本にかかわることを、わざわざ社内で時間をとって皆で「価値創造を考える」を言います。
「考える」に時間を取るのは、行動主義偏重だと怖くも感じるでしょう。
でも元来、ブレークスルーというのは、たったひとつのアイデアから、脳みその中から生まれるものです。
マーケティング・コンサルタントの神田昌典さんは、
「白紙とペンをもって、部屋に引きこもる時間がもっとも生産性が高い時間」
と述べていますが、それくらい、「考える」には爆発的なパワーがあります。
今の10%でもいい、皆で「考える」時間をとり、「考える」を奨励してみませんか?
③チャレンジは善、失敗は財産
価値創造を「正解探し」と思うと、まず頓挫します。
価値創造は、さまざまなチャレンジの中から生まれてきます。
価値創造というのは、「新しい」という性質があるため実施するのは怖いものです。
リスクを感じて腰が引けてしまいがちです。
だからどうしても一発で当てるような「正解探し」をしてしまいがち。
しかしそれでは、大半のアイデアはまず殺されてしまいます。
「それはうまくいかないんじゃないか」
「リスクが大きすぎでしょう」
「無理に決まってるよ」
そんな言葉が飛び交うアイデアキラーがはびこってしまいます。
さまざまなチャレンジをする中で、「これだ」という価値は発見できるのであり、たとえ失敗したとしても「こうすれば失敗する」という貴重なデータが残ります。
繰り返していくうちに、チャレンジの精度が上がり、的確な価値創造成功のサイクルが回っていくのです。
もちろん大きなリスクはめったに取れないでしょう。
だから、毎日1mmでいいのです。
小さなチャレンジ、まずは身近なチャレンジが重要です。
お客様の迎え方ひとつでも、昨日は「いらっしゃいませ」、ならば今日は「こんにちは」ではじめてみよう。
そんなレベルで大丈夫なのです。
もし「こんにちは」の方が、お客様の反応がよかったり、社員がより積極的になれるのであれば、ひとつ価値が創造されたわけです。
それらの中から、ときに「ブレークスルー」になるような、画期的なものが生まれてきます。
繰り返しますが、ここで大切なのは、社員たちが「価値創造に頭と心を向ける」ようになったことです。そのような意識をつねに自然に持てるようになれば、毎日の仕事が価値創造チャレンジです。
まとめ~「価値創造人材」こそ組織活性化の要
価値創造は、会社の価値を上げますが、同時に、社員様が実にイキイキしていきます。
自分が業務の歯車ではなく、価値創造の主役だと思えたときに仕事が面白くて仕方がなくなります。ひとは、どんなひとにでも、自分を表現したい、だれかの役に立ちたいという欲求があります、価値創造の文化は、まさにその欲求にドンピシャに刺さるのですね。
中小企業こそ価値創造を文化にして、価値創造人材をたくさん増やしましょう。
組織活性化の、「活性化」は、この「創造への欲求の活性化」なのです。
「これ、いいね!」
「これはダメか―。よし次はもっといいアイデアを出そう」
「ピンチも絶対大丈夫。考えれば、絶対にブレークスルーはある!」
そんな、社員ひとりひとりが最大限の能力を発揮し、認め合い、協力し合う会社になりませんか?
停滞する日本?
とんでもない!
わたしたちの創造力で、いくらでも道は開けるのです。
P.S
これからもブログをお届けしますので
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こちらも役に立ちます(「一言で社員のやる気を変えられるリーダーの言葉術とその秘訣とは」)
執筆者紹介
オフィスオントロジー
代表 友成治由
人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家
10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるメンターメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。
哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。
経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など
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