長期安定高単価受注営業マンの提案営業法
もし、顧客のことを120%語る営業は、商品やサービスをそれほど売り込んだり、アピールしたりしなくても、顧客は信頼して、スッと買ってくれます。
目次
業績を伸ばす営業がフォーカスするものとは?
ただのモノ売りではなく、しっかり信頼を得ながら長く営業をして会社を伸ばすならば、商品・サービスを語る前に、顧客を語る営業を生み出しましょう。
もし、顧客のことを120%語る営業は、商品やサービスをそれほど売り込んだり、アピールしたりしなくても、顧客は信頼して、スッと買ってくれます。
コンサルティング営業や提案営業(以下、営業)の要諦は、「顧客を語れるかどうか」にあります。
わたしたちは、「営業」を考える場合には、一度「商品・サービス」を忘れる必要があります。
顧客はあなたの会社から何を買っているのか。
それは「価値」です。
「商品・サービス」ではありません。
価値の中身には、便利さ、コストダウン、売上アップ、生産性向上、快適さ、健康、美しさ…などなどあります。
が、中身はいずれにしても、すべて顧客は「顧客にとっての価値」として買っています。
「顧客にとっての価値」を最適なカタチでかなえられるのであれば、別にあなたの会社の商品・サービスでなくてもまったく構わないわけです。
こう言われるとドキっとしてしまいますが、逆の立場で考えたらそうですよね。
だからこそ商品・サービスの乗り換えはいつでも起こりうるわけですし。ガラケーからスマホになったように、ときには業界を一変するほどの商品・サービスが現れて、従来のものを一気にゴボウ抜きすることだってあります。
営業を発展させるならば、なによりも考え方を、「商品・サービス」から「価値」に変えていくことが必要です。
高単価長期受注の営業のしごとぶり
高単価で、長期で受注する営業というのは、「価値」をみつめて営業しているのですね。
顧客はじぶんたちにとっての価値こそが欲しいのですから、そのような営業はつねに顧客の話を聞き、顧客のことを語ります。
営業ではよく「顧客ニーズを聞き出す」のが大事だといわれます。
なかなか伸びない営業はこのニーズを間違ってとらえてしまっています。
つまり「商品ニーズ」だけにフォーカスを当ててしまっているのです。
「自分たちの」商品やサービスがほしいかほしくないか、そういった観点でヒアリングしたりコミュニケーションをしています。
しかし、顧客としては、それではどうしてもズレを感じてしまいます。
なぜならば顧客が本来ほしいとおもっている「顧客にとっての価値」が置き去りにされているからです。
その結果「自分たちの」視点でばかり話す営業は、売り込み臭が強いとして敬遠されることになります。
信頼されて伸びる営業は、つねに「価値ニーズ」にフォーカスを当てています。
「この顧客は、何に困っているのだろう」
「この顧客は、本当は何を実現したいのだろう」
「この顧客にとっては、本当はわたしたちの商品・サービスよりも、よい解決策があるのではないか?」
このような視点でつねに考えています。
主語はいつも顧客であり、顧客になりきって考え、聞き、語ります。
商品・サービスは、顧客の価値を実現するための手段のひとつ、という位置づけなのです。
だから、顧客にとって今の商品・サービスが顧客の解決策にふさわしくないと思えば、商品・サービスの改善点やふさわしくなるためのアイデアを考えますし、社内でも議論していきます。そうやって、みずから価値実現のための行動を巻き起こしていくことができます。
そしてさらに、「あえて提案しない」という選択肢もつねにもっています。
売上チャンスをみずから放棄するようなものですから強烈ですが、それこそが顧客の価値を実現するための営業の矜持であり、本物の営業がもつ真の貢献だからです。
顧客は実は営業のその矜持こそを買っています。
顧客にとって、目の前にいるあなたの会社の営業からは、真に顧客自身のことを考えてくれていることがひしひしとわかります。
すると、
「この営業に相談することこそが、わたしたちの価値なのだ」
そのように顧客は感じます。
あなたの会社の営業が、顧客にとっての「価値実現パートナー」になるのですね。
いったんそう感じられると、顧客は営業を信頼し、高単価や長期の取引をスッと行ってくれるようになります。
たとえ一見すると他社や他の解決策より高いと思っても、「この営業はかならず自分たちの価値のための提案をしている」とわかるからです。
営業とは会社の本質が現れたもの
会社の歴史や技術や、また事業への思いをもって経営をされている場合は、この営業のスタイルは欠かせません。
営業を通して、会社が透けて見えるからであり、営業がただのモノ売りから、会社が体現しようとしている価値の接点になるからです。
こういった営業スタイルは、本人の資質も必要ですが、それ以上に「会社として」取り組むのが大切になってきます。
「わたしたちの会社は、だれのために、なんのためにあるのか?
そのために何を優先し、そのために、究極、何を選択するのか?」
そういった、原点ともなる本質価値を会社自体が体現しようとしているかどうかで、営業のパフォーマンスは天と地ほどに変わります。
営業が顧客のために真に考えることができるためには、もちろん本人の意識自体が価値フォーカスになっていなければならないのですが、価値フォーカスになれるためには、「なってもいい」または「うちの営業はそうである」という会社からの無条件のバックアップが必要です。
言い換えれば、営業が会社を信頼しているからこそできる営業ともいえます。
顧客を考え、顧客を語る営業は、実際高価格で長期的な受注を生み出し、会社の成長を生み出します。
ですので、ぜひスタイルとしてもスキルとしても推奨するのですが、その営業ができるためには、会社全体がそうなっていることが重要です。
営業は表に現れているものですが、その営業を表に出しているのは会社そのものです。
決してバラバラのものではなく、不即不離、本来分けられません。
会社の本質が営業というカタチになっているのですね。
営業の問いは、全社の問い
先ほどもお話した、
「この顧客は、何に困っているのだろう」
「この顧客は、本当は何を実現したいのだろう」
「この顧客にとっては、本当はわたしたちの商品・サービスよりも、よい解決策があるのではないか?」
この問い、そして、
「わたしたちの会社は、だれのために、なんのためにあるのか?
そのために何を優先し、そのために、究極、何を選択するのか?」
この問いを会社としてやればやるほど、最善の営業がこの問いのように活動し、最高のパフォーマンスを出していくようになります。
顧客を語る営業は伸びます。
営業を伸ばすために、顧客を語る会社になりましょう。
決してバラバラのものではなく、不即不離、本来分けられません。
会社の本質が営業というカタチになっているのですね。
バラバラにしないからこそ、会社全体がひとつになり、社員の心もひとつになる。
それは楽しいものです。
P.S
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執筆者紹介
オフィスオントロジー
代表 友成治由
人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家
10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるメンターメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。
哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。
経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など
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