解決できる人とは?想定外の問題発生でも振り回されない秘訣
そのトラブルは想定外での出来事でもあり、その方にとって大変だったと思います。その様子は電話やメッセージの内容からも伝わってきました。
結果的に無事乗り越えることができ、最終的には何事もなかったかのようになり、その方の仕事も成功を収めました。
この想定外のトラブルのおかげで、大切なことにあらためて気づかされました。
目次
想定外のトラブル発生!
先日、ある仕事先の方が緊急のトラブルに遭遇しました。
そちらからわたしにもそのトラブルに関するお電話、メッセージ&緊急対応依頼がありました。
そのトラブルは想定外での出来事でもあり、その方にとって大変だったと思います。
その様子は電話やメッセージの内容からも伝わってきました。
結果的に無事乗り越えることができ、最終的には何事もなかったかのようになり、その方の仕事も成功を収めました。
わたしはふだん、思考や感情を整えることや、自分の内を見つめることを推奨していますが、今回あらためてそう思わされました。
仕事先の方、Aさんとしましょう。
Aさんは、わたしも尊敬している人であり、わたし自身も何度も助けられてきました。
そしてAさんも普段から心を整えることを意識的に続けてきています。
今回のトラブルは想定外だったため、Aさんにとってもビックリされたと思います。
Aさんだけへの影響だったらまだいいのですが、Aさんのお客様にとって影響が大きいことがあり、気の毒な出来事でした。
わたしに直接関係があったわけではないですが、この事態に対応できるのはわたししかいないだろうということで連絡をくださいました。
無事わたしの方でも緊急対応をし、結果Aさんの先でもそれはうまくいったのですが、気が付いたのは、そのときの「わたしの心」だったのです。
わたしにとっても想定外のことでしたが、それでも連絡を受け対応しているとき、わたしの心は、相当に落ち着いていたことに気づいたのです。
Aさんも普段はとても落ち着いていらっしゃいますし、今回のトラブルでも出来る限り落ち着いて物事に対処していました。しかしそれでも相当焦っていることはうかがわれました。
Aさんの状況では、お客様のことお客様の立場、時間的なプレッシャー、その後の影響などもろもろあります。また遠く離れたわたしに連絡するくらいですから、Aさんのいる現地では対応が難しいわけです。余計に心配は募ったことだろうと思います。
一方、わたしのほうといえば、Aさんの状況は理解しつつも、Aさんを取り巻くもろもろの影響は関係ないわけです。緊急であるとはいえ「問題」だけに対処すればいいのでした。
ですので、時間的なプレッシャーはわたしにはありましたが、それでも落ち着いてひとつひとつやれば「問題」自体は、うまく解決することがわかっていましたので、「わたしの心」はとても落ち着いていたのです。
どうして「心」が乱れるのか?
ひと段落ついて、あらためて印象強く気づかされました。
問題発生のときは、どうしても心が乱れてしまうこともあります。
そんなとき「問題」が心を見だしてしまうのだとわたしたちは思ってしまいがちです。
問題が起こると、心が乱れてつらい。だから問題は悪なのだ、そんな風に思ってしまいます。
ところが今回あらためて気づかされたのは、「問題」そのものは悪でもなんでもない、問題解決がうまくいかないとしたらそれはわたしたちの「心」なのだ、という事実。
なぜ、わたしが心を落ち着かせていられたのか。
それは、わたしにとっては「問題」に取り組むだけでよかったからです。
極端にいえば、わたしにとっては、Aさんの仕事先での人間関係はとくに影響はありません。
わたしが評価を下げるわけでもなく、恥や後悔を感じるわけではありません。
純粋に「問題」に向かうだけでよかった。
しかしAさんは違いました。
「起こった問題」以外のものがびっしり取り巻いていたのです。
Aさんの心を乱したのは、起こった問題そのものではなく、問題によって生じるさまざまな「これからの人間関係、評価などなど…感情のうずまき」だったのです。
わたしたちは実は問題そのものではなく、問題から派生する感情のうずまきによって、心を乱されているのです。
もしわたしとAさんの立場が逆であったら、やはりわたしがあせり、Aさんは落ち着いて心でいられたでしょう。
「問題」は、想定内であれ想定外であれ、起こるのが仕事であり人生というものです。
だから問題に取り組むこと自体は、大変なこともありますが仕事や人生の醍醐味ともいえます。
ただ、問題に前向きに取り組むためには、心が落ち着いていることが必要です。
心が落ち着いていると、問題に振り回されることもなく、しっかり見つめて取り組むことができます。
わたしたちの心が乱れるのは、「問題」に生じる人間関係や自分の評価や感情など、問題以外の部分なのです。
「心を落ち着かせる」とはどういうことか?
問題解決スキルの問題であることは、経験上1割かせいぜい2割程度しかなく、問題というものは問題に集中してあきらめずに手を尽くせばまず解決するものです。
しかし問題以外のものにとらわれ過ぎるとどうでしょうか。
問題以外のところで心が乱され自分を苦しめてしまいます。
そうして、肝心の「問題そのもの」を過小評価したり、スルーしたり、根本原因に取り組むことを避けたりしてしまい、かえって問題や問題以外のことまで大きくしてしまいます。
「心を落ち着かせる」というとき、それはひとことでいえば「問題だけに集中する」ことです。
「問題だけに集中」できるように、普段から心を見つめる中で、わたしたちがどうしても乱されやすい部分-人間関係、他者評価・自己評価、感情の整理-などを丁寧にしておくことです。
それによって、想定外の問題や、意を決するような大きな問題が起こった場合でも、「乱される部分」と「集中する部分」を冷静に分けることができ、問題そのものに100%の意欲と能力と、そして覚悟をもって取り組むことができるのです。
組織でも必要な「心」への取り組み
この話は、個人の話だけではありません。
むしろ組織の話ととらえたほうがよくもわるくも影響は大きいものです。
社員たちの間に「問題にみずからとりくまない」「チャレンジ精神がない」「自分で考えない」などの問題があった場合、社員の能力というよりも、組織の人間関係や評価の問題であることが、まずほとんどだからです。
「問題にみずからとりくんでも、ダメ出しで否定される」
「チャレンジしても、失敗したら、評価を下げられる」
「自分で考えても、甘い・もっと考えろなど言われる」
問題や取り組みそのものではなく、それをやった結果生じる「問題以外のもの」が社員たちの心を乱したり、消極的にしたりしているのですね。
もし取り組んでほしいチャレンジや問題があったとしたら、結果いかんにかかわらず、それだけに集中できるように環境や方針を定めておきましょう。
わかりやすいのはリーダーや上司が、「何起こしても大丈夫。あとは俺が引き受ける」と全部引き受けることです。
それにより、能力だけでなく、意欲、感情、覚悟といったものを社員は発揮しやすくなります。
人間の心というものは、問題だけに集中すると、かならず結果を出していきます。
それだけの能力も力も本来だれもがあります。
しかし、心は人間関係や評価や感情などで実に乱されやすいものでもあります。
個人の場合ならば、普段から、どんなことに乱されるのかを見つめつつ整理していきましょう。
組織の場合ならば、社員は問題ではなく社内評価や人間関係で心が乱されることを意識して、社内環境や方針を整えていきましょう。
ともに心を定める
心を定める。
いつでも定められるように見つめ、整える。
わたしもまだまだ途上ですが、あなたと一緒に肝に銘じていきたいと思います。
P.S
これからもブログをお届けしますので
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こちらも役に立ちます(「一言で社員のやる気を変えられるリーダーの言葉術とその秘訣とは」)
執筆者紹介
オフィスオントロジー
代表 友成治由
人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家
10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるメンターメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。
哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。
経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など
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