危険!組織活性化を失敗させる最大の敵の正体
もっともやりがちですが、もっとも気づきにくく、またもっとも納得のしづらいものがこの「敵」です。
そっと忍び寄りつつ、人を苦しめるからこそ最大の敵。
この最大の敵に気づいたときから、組織活性化は成功の道を歩み始めます。
この最大の敵への一番の武器は、「気づくこと」なのです。
目次
- ○ あなたの組織は最大の敵にがんじがらめになっているかも
- ○ 最大の敵の忍び寄っている日常会話風景
- ○ 組織活性化を邪魔する最大の敵の正体
- ○ 最大の敵を破る方法
- ○ 大切なのは気づくこと
- ○ 組織活性化とは、全員で本質探究をし続けること
- ・執筆者紹介
あなたの組織は最大の敵にがんじがらめになっているかも
率直に申し上げて、会社組織の多くはこの最大の敵にがんじがらめになっています。
そうして、それらがさまざまな会社教育や人材育成にも使われてしまっています。
一見もっともらしいのでみなそれを学び、またそれによって組織を運営したりマネジメントしたりしますが、気が付けば、上司と部下の間がギシギシしたり、社員は会社を給料の道具としかみなくなったり、雰囲気がギスギスしたりします。
もちろん、そんなギスギスした雰囲気であることはわかりますので、さまざまな手を打ちます。上司にコーチングを学ばせたり、部下に仕事の意識を学ばせたり、行動管理を緻密にしたり・・・
でも雰囲気は一向に変わりません。
それはなぜか。
そう、そういったせっかくの施策が、「最大の敵の影響のもと」で行われているからなのです。
「最大の敵の影響」をまず脱すること。
それが、組織活性化の最初にして最大の第一歩です。
最大の敵の忍び寄っている日常会話風景
こんなふうな会話、ありませんか?
上司 「A、この提案おかしいんじゃないか。こうするべきだろ」
部下A「わかりました。でも…」
上司 「A、わかったらやれよ。それが組織ってもんだろう。もう君くらいなら収益のことを考えるべきだろう。仕事はスピードが絶対だから、お客様を待たせるんじゃない。とにかく早くやってくれ。君には期待しているんだ、わかるだろ?」
部下A 「は、はい…、ありがとうございます。早速取りかかります。」
会社でよくありそうな一風景です。
部下Aのとまどいもわかりますが、上司の言っていることは正しいし、それで会社は回っています。改善点があるとすれば、上司の言葉をもっと柔らかくすればいいんじゃないか?
そんな感じですよね。
しかし、もしこの風景の日常が続いたとすると、ほぼ断言してもいいですが、辞める人も多く、また雰囲気がどんよりした会社になり、ひとの意欲の低下によって業績も下がるでしょう。
上司が悪いわけではありません。上司も一生懸命です。部下Aももちろん一生懸命です。しかしそれでも雰囲気はどんよりしてくるでしょう。
なぜならば、たったこれだけの日常風景にも、その「最大の敵」が忍び込んでいることが伺われるからです。
組織活性化を邪魔する最大の敵の正体
この会話の上司は、こんな言葉を多く使っていることがわかります。
「~べきだ」
「これは~ものだろう?(こう考えるべきものだろう)」
「絶対~だ」
一見「正しいこと」を言っているように聞こえますので、部下Aも反論することなく受け入れています。
しかしこれこそが最大の敵が忍び込んだ組織がよく使う言葉なのです。
この場合、部下Aは「受け入れている」のではなく、「従っている」だけ。
その一瞬はタスクは完了するでしょうが、部下Aの意欲と上司に対する信頼はダダ下がりになってしまうでしょう。
その敵の正体とは何か。
それが、「正しさの固定観念」です。
とりわけ、「もっともらしい正しさの固定観念」。
これが組織活性化を根深く妨害し、いつのまにか組織を下手すれば崩壊寸前にしてしまっています。
「もっともらしい正しさの固定観念」とはどういうことか。
たとえば、先の会話でいえば、
「仕事はスピードが絶対だ、お客様を待たせるんじゃない」
この言葉だけ取り出してみると、まさに「正しい」。
だからこの言葉を出されたら、まず普通のビジネスマンは反論できません。
とくに立場の上の方々にこれを言われてしまうと、立場が下の方々はそれ以上のことは言えなくなってしまいます。立場が下の部下たちも、もしかして何か思いや考えがあったのかもしれません。しかし、「正しい」ことを言われた瞬間、もう部下は口を閉ざしてしまいます。決して受け入れたからではなく、「正しい」ことを言われたら、何をいっても「お前は間違っている」のレッテルを貼られてしまうからです。
こういう風にお話すると、「いや、それでもやっぱり仕事はスピードでしょう」と、正しいことを言っているのに、と納得できないかもしれません。
でも、それこそが「最大の敵」の最大たるゆえんなのです。
つまり、最大の敵である「もっともらしい正しさの固定観念」に使っている状態とは、「自分が正しい」の枠に凝り固まっていることに気づかない状態。それ以外のあらゆる可能性を自分自身でつぶしてしまっているという状態なのです。
「もっともらしい正しさ」は言われてみればその通りと言わざるを得ないことばかりです。
だからそれが「真実だ」と思い込んでしまい、それ以外の事がらを「間違い」だと自動的に線を引いてしまいます。
だから「もっともらしい正しさの固定観念」のひとの会話は、「~すべき」「~ねばならない」「~絶対○○だ」「●●とはこうあるべきだ」のような言葉が多用されます。
それは、コミュニケーションとしては、「正しさのパワーゲーム」にしかなりません。
立場が上だから勝つ、下だから負ける(従う)。それだけの空虚なコミュニケーションになってしまいます。
「もっともらしい正しさの固定観念」という最大の敵の力とは、このように「自分は正しい」と気持ちよく思わせたまま、その人やその組織を空虚なパワーゲームに引きずり込んでしまうことにあるのです。
最大の敵を破る方法
では「もっともらしい正しさの固定観念」を破る方法とは何でしょうか。
なかなか気づきづらい攻撃をしてくる敵を破る方法とは何でしょうか?
それが、「探究心」です。
自分や自分たちは、いつでも途上にあるとつねに思い続けて、
「よりより在り方やよりよいやり方は他にもあるのではないか?」
そのように、つねに「開かれた態度」を持ち続けることです。
たとえば、上司がこのように考えていたとしましょう。
「仕事はスピードが第一だ、確かにそうかもしれない。でも丁寧に時間をかけるということも大切ではないのか?」
「また、今のこの部下Aには、スピードよりも丁寧さを重視する方がいいのではないか? スピードに関しては、きちんと説明すればお客様もまってもらえるのではないか?」
このように、たとえ一瞬でも「探究心=開かれた態度」をもつことで、この二人のコミュニケーションや仕事の方法はがらりと変わってきます。
部下Aにとっても、自分の思いや考えを上司が受け止めてくれたという信頼感が生まれてきます。
「探究心=開かれた態度」とは、そもそも自分たちは「もっともらしい正しさの固定観念」に襲われやすいのだと自覚し続けることです。
「もっともらしい正しさ」は「もっともらしい」からこそ気づきづらく、いつのまにかそれが「絶対に正しい」として自分で自分をがんじがらめにしたり、他者との関係を壊したりしてしまいます。
だからこそ「いつでもわたしたちは成長途中」と思い続け、「もっとよりより在り方、もっとよりよりやり方はあるのではないか?」と可能性や創造性があることに思いを持ち続ける姿勢が大切になります。
そして、この姿勢を「謙虚」といいます。
謙虚とは、人にへりくだることをいうのではなく、自分を絶対視しない開かれた姿勢のことを本来言うのですね。
大切なのは気づくこと
ここでひとつご注意ください。
今回の例でいえば、
「仕事はスピードだ」を間違っていると判断しないことです。
それをしてしまうと、「仕事は丁寧に時間をかけるべきだ」が次の「もっともらしい正しさ」として固定観念になってしまいます。
どちらが正しいかは問題ではありません。
大切なのは、
「自分はもっともらしい正しさの固定観念の中にいるのだ」
と「気づく」ことです。
それにより、仮に「仕事はスピードだ」を選ぶにしても、開かれた選択をすることができます。
開かれた選択とは、部下Aのことも理解しつつ、会社の取り巻く状況も理解しつつ、この時この場という状況も理解しつつ、それでも今は「仕事がスピードだ」とそこにいるだれもが理解したり、共感したりする方法で選択できるということです。
そうすることで部下Aも理解共感して取り組むことができますので、意欲も高く上司も信頼して仕事にまい進することができます。
組織活性化とは、全員で本質探究をし続けること
「もっともらしい正しさの固定観念」とは、「閉じた姿勢」です。
「もっともらしい」ので誰も反論できず従いますが、そこで可能性をシャットアウトしてしまう姿勢です。
「もっともらしい正しさ」を主張した本人以外には、理解も共感も中途半端のまま、意欲や信頼を損なってしまいます。
なによりも怖いのは、その本人が本人を縛り付けているものに気が付かないので、気が付かないまま、本人を取り巻く状況が悪化し続けるのです。
逆に開かれた姿勢、いいかえれば、今の自分たちを途上にいると思い続けよりより在り方、よりよりやり方を考える姿勢を持ち続けることで、立場の上下に関係なく、だれもが自主的な考えや思いを受け入れてもらえる土壌ができます。
それにより意欲が生まれたり、相互の信頼が生まれます。
お互いが「謙虚」だからこそ、お互いの未熟さも受け入れ合い協力し合い、よりよい未来を全員で目指そうとします。
組織活性化とは、そんな「本質探究の姿勢をみなで持ち続ける」ことです。
この会社、この組織にとって本当に大切なことはなんだろうか?
いまが絶対だろうか? もっとほかにあるのではないか?
つねに開かれた姿勢でみなが思い、考え続け、認め合い、話し合うことです。
「もっともらしい正しさの固定観念」はパワーゲームを生んでしまいます。
せっかくもっているよりよい未来をシャットアウトしてしまうのはもったいないです。
たとえ「経営理念」であっても、その意義や在り方をつねにみなで開かれた姿勢で問い続けることで、言葉は変わらなくともその「意味」はつねに新しくなり続けます。社員の心に日々新たに浸透し続けます。
「べきだ」「ねばならない」「絶対○○だ」
そんな言葉が目立ってきたらご用心。
そして、そんなときこそ、最大の敵を破るチャンスです。
P.S
組織活性化、組織変革のトピックを
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本質から組織を元気にしませんか?
こちらも役に立ちます(「一言で社員のやる気を変えられるリーダーの言葉術とその秘訣とは」)
執筆者紹介
オフィスオントロジー
代表 友成治由
人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家
10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるメンターメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。
哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。
経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など
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