重要考察。社員が会社で「働き甲斐」を感じる方法
社員が「この会社ははたらきがいがある」と思っていると、その会社はいつも活気づいていますし、もちろん業績も上向きです。
また社員がながくその会社ではたらくので、組織としても強く安定したものとなります。
「はたらきがい」は、あいまいな言葉です。
大切だとはわかっていても具体的な実行テーマにしづらいものですが、「はたらきがい」を感じるかどうかは、確かに、社員が意欲的になり生産性が上がり、また長くはたらくためのキモになるものです。
今日の考察が少しでも具体的な実行策へつながればうれしいです。
目次
はたらきがいとは何か?
まず、「はたらきがい」とは何か?
「公益社団法人国際経済労働研究所」によると「ワーク・モチベーション」と定義されています。
仕事をしたい、という動機ですね。
それは「内発的はたらきがい」と「外発的はたらきがい」に分けられます。
「内発的はたらきがい」とは、自分の内面から湧き上がる、はたらきたいという意志。
「外発的はたらきがい」とは、報酬や圧力など自分の外から与えられるものではたらこうとする意思をさします。
この二つの区別は大切で、ワーズワースの「動機づけ理論」に準拠します。
「動機づけ理論」とは、働きがいは二つの動機付け要因で成り立っているとういうもの。
ひとつは「動機付け要因で」、仕事のそのもののおもしろさや楽しさなどです。これにより社員は仕事への満足感を得られます。
もうひとつは「衛生要因」。
給与、福利厚生、職場環境などの要因です。
これがあるからといって必ずしも満足感が高くなるわけではないのですが、ないと「不満足」になってしまうというものです。
もちろんどちらも重要。
「衛生要因」という安心・安全な状態があり、そのうえで、「動機づけ要因」というより仕事そのものへの前向きな意欲、意思をもつことができます。
「動機付け要因」は「内発的はたらきがい」に相当し、「衛生要因」は「外発的はたらきがい」に相当します。
「はたらきがい」を感じてもらうための視点
さて、今回より見たいのは、「内発的はたらきがい」の部分です。
安心・安全の環境を整えたら、日常のマネジメントや育成の課題としては、日々どう働いてもらうかに頭を悩ませます。
言い換えたら
「どのように働かせたら、社員は「はたらきがい」を感じてもらえるか?」
という論点です。
ここからは、ごく日常目線でまいりましょう。
そちらの方が、よりリアルで、かつ実効性が高いからです。
「はたらきがい」など社員の意欲や気持ちの問題に対処するときは、相手はひとりの人間である、という「生身のひと」への視点が非常に重要になります。
(現象学的視点、ともいいます。)
社員のはたらきがいを考えるときは、そもそも
「自分が同じ状態だったら、はたらきがいを感じるかどうか?」
を考えることからはじまりますし、それに尽きるともいえます。
たとえばあなたが誰かに、「これやっておいて」と言う場面。
強圧的に言われたら、嫌でしょう。
社員だってそうです。
自分がひとしれず苦労して頑張ったこと。
人からみれば見過ごしがちかもしれないけど、でも自分としてはすごく知恵も工夫も絞った。
そんな場面で、
「よくがんばったね。」
と一言言われたら、非常にうれしく感じるはずです。
社員だってそうです。
「はたらきがい」など意欲や気持ちの問題を感がる際には、「役職別」、「職種別」「年次別」の役割云々を論点にしても意味がありません。
どの役職、どの職種、どの年次でも、「生身のひと」だからです。
「生身のひと」としてうれしい要素はどの立場になってもうれしいし、その逆もまたしかり、ですよね。
そう考えた場合に、生身のひととして「はたらきがい」を感じるのはどんな時でしょうか?
「はたらきがい」を感じないとき、感じるとき
一見するとさまざまな仕事があります。
経営のような大所高所からの仕事があります。
中間マネジメントのように、経営と現場をしっかりつなぎまとめる仕事もあります。
営業、開発、製造などのように、それぞれの課題に向き合い成果を生み出す仕事もあります。
またルーティンワークや単純作業のように、目立たずとも、これがなければ困るという仕事もあります。
仕事の種類だけを見ていると、なかなかわかりません、
でもどの仕事をすると想像しても「その仕事への携わり方」という面でみると、「はたらきがい」を感じるときと、感じないときがあることに気づきます。
「はたらきがい」を感じないときはどういうときか。
たとえば、
・押し付けられている。
・その仕事がそのものがなかなかできない。みじめに感じる。
・仲間とギスギスしている…
・言われたことしかやらせてくれない…
・やっても、だれからも反応が無い…
・やったら、文句しか言われない…
どうでしょうか?
自分がその状態にあったら、嫌ですよね。
とすると、逆にすればどうでしょうか?
・押し付けられている
↔自分のやり方も尊重されている、
・その仕事がそのものがなかなかできない。みじめに感じる。
↔自分の能力に見合っている。
・仲間とギスギスしている…
↔みんな人間関係がいい
・言われたことしかやらせてくれない…
↔自分のやり方も尊重されていれる
・やっても、だれからも反応が無い…
↔やったら、認めてくれる
・やったら、文句しか言われない…
↔やったら、認めてくれる
これだったらどうでしょうか?
自分のたずさわる仕事がこうだったら、「はたらきがい」を感じてきますよね。
そう、やっぱり「生身のひと」はどんな仕事をするにしても、
自分の意思ややり方も尊重してほしいし、
自分の能力に見合いながら、発揮していきたいし、
仲間からもお客様からも認められていい関係を気づきたいし、
共通することはおんなじであるわけです。
「どのように働かせたら、社員は「はたらきがい」を感じてもらえるか?」
の大きな問題とは、「はたらきがい」の問題を、「生身のひと」の問題にしていないことにあります。
つまり、社員や部下を、
「管理すべき人」からはじめるか、「生身のひと」としてはじめるかで、その後の風景は全く違うものになってくるのですね。
「はたらきがい」はあなたの会社だからこその人間らしさ
ちなみに、
自分の意思ややり方も尊重してほしいし、
自分の能力に見合いながら、発揮していきたいし、
仲間からもお客様からも認められていい関係を気づきたいし、
については、心理学的には「内発的動機づけ」として、それぞれ、「自律性」「有能性」「関係性」として理論づけされています。が、この理論づけもそもそもは生身のこどもの観察からはじまったものです。
大切なのは、「はたらきがい」でも「社員エンゲージメント(愛着心)」でも、「社内の一体化」でも、そこにいるのは「生身のひと」であるという視点。
理論、制度、高度なツールが仮になくても、自分自身も「生身のひと」だという原点につねに立って思考をはじめることが重要なのですね。
「はたらきがい」にあふれているとは、とても人間味にあふれていることと同義でもあります。「はたらきがい」を考えるとは、人間を考えると同じ意味です。
「はたらきがい」はあいまいな言葉のようで、実は汗も涙も体温もある言葉。
あなたの会社の人間らしさを発揮できる言葉。
それは、
「あ、この目の前の”ひと”はどうしたらよろこぶかな?」
から始められるものなのです。
P.S
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こちらも役に立ちます(「一言で社員のやる気を変えられるリーダーの言葉術とその秘訣とは」)
執筆者紹介
オフィスオントロジー
代表 友成治由
人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家
10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるメンターメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。
哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。
経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など
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