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組織活性化/組織一体化

「学習する組織」~間違った組織開発と成功する組織開発の差

経営陣と社員がひとつになる組織にしたい。

業績アップしながら人材育成もできる組織にしていきたい。

 

経営者が頭を抱える大きな課題です。

 

どうすればいいのでしょうか?

 

さまざまな組織の在り方が提唱されています。

 

ひとつには組織の形態を変える議論。

階層型組織がいいのか、全員が横一線のフラットな組織がいいのか。

それは製造業ならばどうなのか、サービス業ならばどうなのか。

 

組織のおけるコミュニケーション方法にもよく焦点が当てられます。

命令、統制型がいいのか、話し合い、寄り合い型がいいのか。

 

他にも権限移譲であったり、評価方法であったり、会社によって問題もさまざまです。

 

このように、最適な組織にしていくこと-組織開発、にはさまざまな切り口があります。

「これ」といった決定版がいまだにあるわけではありません。

 

その中で今回は、組織形態やコミュニケーション方法など「方法論」の違いに関わらず、しなやかで強くなっていく組織に共通するもの、また現代においてこそより意識したいポイントをいくつか見てみましょう。

目次

なぜ組織開発が重要だと言われるのか?

会社は組織で運営されていますよね。個人事業主であっても、仕事はチームで行うことがほとんどであり、それも組織と呼ぶならば、組織をいかによくしていくか、しなやかに強くしていくのかは必須課題です。

会社を人間の体にたとえれば、脳や心臓や腎臓などさまざまな臓器や器官がひとりひとりの社員や部署。血液は人や組織の間で流れるコミュニケーションといえます。

ひとつひとつの臓器が正常に機能し、血液の流れもさらさらであると、健康体。バンザイです。活力ある生活ができ、たいてい病気は自己治癒・自己免疫で乗り越えられる、しなやかで強い生活を送ることができます。

組織開発は、このように活力をもって毎日仕事をしながら、外部環境変化の問題も自分たちの知恵や工夫で解決し乗り越えていけるような、あなたの会社にとっての、最適な組織の在り方や運営方法を生み出していくことです。

すばらしい商品やサービスを生み出し、届けるのも組織です。
大きな問題発生時に、乗り越えていくのも組織です。

「体」を整えることで人生のさまざまに楽しむ「健康」という土台をつくるように、「組織」を整えていくことで、企業のビジョンや目標を達成できる「ひとつになって活力ある社員達」という土台をつくることができます。

これまでの組織開発の議論にかけていることとは?

このように組織開発は、経営者にとって欠かせないテーマなのですが、あまり意識されていないことも多い。多くの組織開発の話には欠けている部分があります、

現在でも、9割の会社組織は、ピラミッド型の階層型組織であると思います。社長-役員-部長-課長-係長-一般社員のようなおなじみの形ですね。

最近では、ビジネスのスピードの高速化や、瞬時の臨機応変さが求められたりすることに応じて、文鎮のようなフラット型組織が採用されたり、全員が同じ立場でそれぞれ判断しあいながら協力し合うというティール型組織が提唱されたりもしています。

コミュニケーション論も同じように。命令・統制、トップダウン型のコミュニケーションがいいのか、寄り合い、サークル型のボトムアップがいいのか。

他にもいろいろ切り口はありますが、「どれが一番よい」と言える答えはありません。
自衛隊には自衛隊が効率的に最適に運営されるための組織の在り方がありますし、フリーエージェントの塊のような組織にはよりネットワーク的な在り方が適しているでしょう。

この前提は「AとBのいずれを選ぶのか」という議論ですね。
たとえば「A」を選ぶことでものごとはうまくいく、というわけです。

もちろんAかBかいずれかを選択するのは大切です。
問題は、AかBかいずれかを選択したら終了、と考えてしまうことにあります。

いいかえれば、ある固定の選択肢を選べばそれは永遠に続くかのように思ってしまう、「思考のクセ」に問題があります。

「9割の会社組織は、ピラミッド型の階層型組織である…」はたして“本当に”いまでもあなたの会社はピラミッド型階層組織の方が最適なのでしょうか?
ピラミッド型階層組織は永遠不滅と思ったら、ちょっとストップ。考えるいいチャンスです。

間違えてほしくないのは、ピラミッド型階層組織がダメといっているわけではありません。
「今の、あなた会社の状況においてそれが最適なのかどうか」、ということにあります。

外的状況はつねに変化しており、会社の商品やサービス内容も変わっているでしょう。社員だって、入れ替わりもあれば、長くいれば高齢化も進みます。
ありていにいえば、ものごとはつねに変わり続けているわけです。

そのような中で、ある選択肢をかわらず正解と思い続けている、固定的な組織のとらえ方にこそ問題がある、というわけですね。

外的状況に応じて組織の在り方も変化した方が、より会社にとって最適なことも実は多いはずです。物理学とは異なり、人間の問題は、ある時点の正解はあくまでもある時点の正解にすぎません。

組織開発は、一度限りの固定的なものではないということですね。
それは「毎日」発生している「動的-ダイナミックなもの」。
終わりのないプロセス、なのです。

これまでの組織開発や組織活性の議論には、体内にスムーズに血流が流れ、神経がイキイキし、頭がさえ、体が躍動するような、そんな日々の「ダイナミズム」をどう生み出していくのかという議論が欠けてきました。

「学習する組織」というキーワード

組織が人間の体としたら、成長させてメンテナンスして、育てていくものです。
育てていくという「ダイナミズム」を意識することで、つねに組織の最適な在り方を見直しながら、ときに大胆に変革したり、よりスムーズに社員たちが活性化するように導くことができるようになります。

この「ダイナミズム」のある組織のことを、「学習する組織(Leaening Organization)」とよび、ピーター・センゲが提唱し同名で著書も発行されています。

ピーター・センゲは、この本で、どの選択肢を選ぶべきか、というベストな方法を提示しているのではありません。組織(社員ひとりひとり)は日々どのように学び、在り方を深め、みなが納得するようにそれを実現していけばいいのか、という組織のダイナミズムの生み出し方を提案しています。

いいかえれば、最適な選択肢を提示するのではなく、最適な選択肢をみずから作り出せるような組織になれるようにしているわけです。

組織開発は終わりのないダイナミックなプロセスです。

だからこそ、経営者、そして社員ひとりひとりが、いつも「いまのわたしたちにとって、何がもっとも大切だろうか? いま、それを反映できているのだろうか?」と考え続けることは、他にはないあなたの会社だけの資産となっていきます。

組織学習? 何を学習するのか?

では、組織学習とは、いったい何を学習していくものなのでしょうか?

多くの会社は、業務知識や業務スキル、リーダーシップなどヒューマンスキルの研修などをおこなっていることと思います。必要なことですが、組織学習とは異なります。
では、専門家や権威ある先生のお話を聞くことかというと、そうでもありません。

組織学習とは、「自分たちのことを自分たちでより深く理解し続けること」です。
たとえば、ある問題が発生した場合には解決にとりくみます。今の状態では解決できないときは、解決方法や解決スキルを学ぶわけです。

組織学習の場合は、自分たちを振り返ります。

「問題が発生したのはわたしたちにどんな問題があったからなのか?」
「この問題は、いったい今のわたしたちにどんなテーマを問い続けているのか?」
「わたしたちが見えていないことはいったいなんなのだろう?」

このように、新しい何かを勉強するのではなく、「自己を問う」ことを組織学習でいう「学習」と呼びます。

自分たちのことを自分たちでより深く理解しつづけることによって、外部環境に振り回されない、かえって外部環境の変化を飛躍のチャンスにできるような、確固たる軸を持ったしなやかで強い組織をつくるのです。

組織学習を促進し社員を自立的に成長させるチーム学習

とはいえ、「自己を問う? やってるよ。」そうおっしゃられるかもしれません。
経営者ならば、「自己を問う」重要性は、だれよりも身に染みているはずです。

しかし、落ち着いて思い返してみると、「自己を問う」ことは、喫緊の課題ではないので、日々の業務の後回しにしがちなことも否めません。またうまくいっていないときは問う場面は多いのですが、うまくいっているときには、忘れがちなものでもあります。

さらに組織の問題となれば、社員ひとりひとりに「自己を問う」てほしいのですが、「自己を問いなさい」と言葉で話しても、本当にそうしているかどうかは、実際わからないものです。

ではどうしていくのか。
ピーター・センゲも提唱し、わたし自身もおすすめなのが、「チーム学習」です。
経営者だけが自己を問うのでなく、社員たち自身がチームで組織学習をし「自己を問う」ことを推進するのです。

「自己を問う」ということを、そのための時間や制度づくりなど会社の仕組みにし、意識的なプロセスとすることで、組織のダイナミズムを生み出していくわけです。

「学習する組織」は、「自己を問う」ということを、意識的に組み込んでいることがポイントです。自己を問うことを偶然任せに、その時任せにしないで、識的に組み込んでいくプロセスそのものも意識しながら、社員全員を巻き込み、ひとりひとりの問題として取り組んでいきます。

それにより、組織学習を継続的にし、「自己を問う」を社風として浸透させるのです。

まとめ~組織にダイナミズムを生み出す~

組織にダイナミズムを生み出す。

ダイナミズムのもともとの意味は、「いのちがやどっていること」です。
木々や草花が、一斉に枝を伸ばし葉を広げ花を咲かせるときに感じる“いのち”の力動性。
それがダイナミズムの語源であり、背景にあるイメージです。

ダイナミズムは、動きそのもの、ですから、どこかを固定的に切り取ることはできません。
動きそのものは自分たちで生み出すしかありません。


それを促進するのが、組織にダイナミズム生み出す組織学習=「自己を問う」。
組織文化にまでしていくことで、どんな問題にも社員一人一人がみずから活力をもって考えのりこえ、発展していく組織にしていくことができます。

経営陣と社員がひとつなる組織にしたい。
業績アップしながら人材育成もできる組織にしていきたい。

そんな組織開発をはじめてみませんか?

執筆者紹介

オフィスオントロジー
代表 友成治由

人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家

10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるメンターメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。

哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。

経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など

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