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組織活性化/組織一体化

理念浸透?あなたの会社は存在しなくてもいいのでは?

目次

なくてはならない理念や価値に到達する方法

「あなたの会社やあなたは、
あってもなくてもどちらでもいい。」

こんなことをいきなり言われたら
いきなりなんなんだ、
戸惑いか怒り心頭です。

でも、
だからこそ、

「あなたの会社やあなたは、
あってもなくてもどちらでもいい。」

と言われたら、
最高の幸せに転じるチャンスなのです。

会社はふだん、
何かしらの価値を提供していて、
それにより売上や収益を得ています。

「これで自分たちはやっているのだ」

そう言い聞かせて、
志ある経営者は、
それを理念やビジョンにまで
高めていきます。

これで社員もついてくる。
会社はひとつになれる。

そう思った矢先に、

「あなたの会社やあなたは、
あってもなくてもどちらでもいい。」

そういわれたら、
どう感じるでしょうか。

もし少しでも不安やざわめきを感じたら、
無視したり、反発したりするのはもったいない。

“真剣に”
しかも
“チャンス”ととらえてもいい瞬間です。

どうしてでしょうか?
ちょっと思い出してみてください。

あなたの人生の中では、
さまざまな出会いがあったことだと思います。

うれしくて楽しくて愛しくて、
忘れられない出会いが
たくさんあったことと思います。

両親、祖父母、兄弟、
子ども、親類、友人、先生、
恋人、好きなタレントや有名人。

一緒にはたらく
社員や従業員たち。

でも人生には別れもつきもの。
中にはつらい別れや
思い出したくない別れも
あったかもしれません。


愛する人がいるときは、
いることが自然で
あたりまえの感覚です。

しかし
別れがおとずれ、
その人を失ったとき、
深い喪失感が襲ってきます。

同時に、
あんなにあたりまえにいたときよりも、
言いようもない

「ありありとした存在感」

を感じてしまいます。

「ああ、いたとき以上に、
いま、その人の存在感は大きい。」

なくすことで、
かえってその「存在」をありありと感じる。

わたしもあなたと同じように
いくつかはそういう出会いや別れがあります。

いるときはあたりまえだった。
いなくなってはじめてわかった。

申し訳なさがあったり、
その人を思い出しながら、
前へ進んだり、いろいろありますよね。

これを「不在の在」と言います。

ないからこそ、ある。

そんな意味です。

哲学存在論のテーマのひとつですが、
それはさておき、
わたしたちに身近に迫ってくる話です。

わたしたちはどんなに意識していても、
意識が及ばないところで、
周りの人やモノ・環境の
「存在」を感じ取っています。

まわりをふと見渡してください。

これを見ている、
パソコンかスマホがあるでしょう。

その周りには机があったり、
本が並んでいたり、
目の前に社員がいたり、
外には街がひろがっていたり。

「あたりまえじゃないか」

そう思うかもしれませんが、
ふだんはまったく意識していませんよね。

意識したら、「あたりまえにある」と感じる。
でもいつもいつも「ある」とは感じてない。

注意していないものというのは、
ふだんは隠れているのですね。

そりゃそうです。

いつもいつもどんなときも、
すべてのモノやコトに対して、
「ありありとした存在」を感じては、
感情も思考も揺さぶられ続けます。

脳みそもパンクします。
日常生活を送ることができません。

逆に隠れているからこそ、
“いい塩梅の大切さ”で
日常生活を滞りなく送ることができます。

何を言っているのか、
もうちょっとお付き合いください。
わかってきます。

別の例でいいますね。

白い紙に文字や絵を書く場面を
思い出してみてください。

文字や絵を書いているとき、
「白い紙」の上に書いています。

でも、書き始めたら、
もう書くことに集中。
「白い紙に書いている」なんて
わざわざ意識していません。

意識してもしなくても
あたりまえのようにあるもの。
そうやって、受け取っています。

しかし、ピチャ!
コーヒーがちょっとこぼれてしまいました。
茶色いシミがぐじゃっとついてしまった。
「うわ、汚くなった。」

その紙の白さが失われてしまった瞬間、
「白い紙」を意識したのです。

白い紙の「存在」に気づくのですね。

失う前は、あたりまえ。
まるで背景のようにあった。

失ってはじめて、
あたりまえのものが、
自分を支えていてくれてたことに気づく。

白い紙の

「書けることのありがたさ」や
「書いていても邪魔にならないこと」や
「書いているときのすがすがしさ」など、

白い紙の価値を再認識します。

白い紙は、
あたりまえにあるときは、
なんでもない存在でしたが、
なくなってはじめて、
その大いなる価値を現したのです。

あなたの会社や、
あなた自身も同じではないでしょうか?

あなたの会社がいなくなって
本当に困る人はだれですか?

あなたがいなくなって
悲しむひとはだれですか?

あなたの会社やあなたは
だれのために存在しているのですか?

目の前にいる社員たち。
あたりまえのようにはたらいています。

あたりまえのように
「社長」と言ってくれていたはずが、
もしいきなりまったく関係ない人のように
そっぽ向いたり、全員いなくなったりしたら
どんな会社になりますか?

わたしたちは
ふだん、あたりまえのようにあるからこそ
「ない」かのようにふるまってしまいます。

でも、
あたりまえのものに、
ふと注意を向けたり関心を向けたりしたとき、
「ない」かのようなものが、
実は、すばらしい「存在」感をもっていたことに
気づきます。

いつも歩いていた通勤路に
じっくり注意していたら、
実は季節ごとに花が植え替えられていた。

いつも乗る電車の車掌を
あらためてみていたら、
電車がくるたびに、
手動作だけでなく、
目や表情も八方に向けて、
わたしたちの安全を守ってくれていた。

あの目立たない社員に、
ふと「頑張ってるね」と
声をかけたら、
うれしそうにして、
こんなに丁寧にみなのために
隠れて気づかいしてくれていたことに
気づいた。


あたりまえとおもっていたことに
ふと意識を注いでみると、
実は、
こんなにもすばらしい価値や
豊かさや可能性に満ちていることに
気づくことができるのですね。


サン=テグジュペリの
『星の王子様』いわく、

「本当に大切なものは目に見えない」

わたしたちはどうしても、
今見えているものや
自分が自分で正しいと思っているものだけに
意識はかたむきがちです。

効率的な目標達成のためには
それもときには大切なのかもしれません。

でも、それだけだったら、
なんと無味乾燥なのでしょう。

失わなくていいものまで失うはめになり、

「目標達成して、目的失う」

そんなことになりかねません。


わたしたちは、あえて、
“仕掛けとして”、ときどき

「不在の在」

を問いかける必要があります。

いいかえると、

「あたりまえとおもっていることに
あえて意識を注ごう」

ということですね。

あなたの会社やあなたがいなくなったとき、
残り続けるものは本当はなに?

あなたの会社はあなたがいなくなったとき、
お客さまは、
「ああ、あの会社があってほしかった」
と思う価値はなに?

あたりまえにいる
社員がいなくなったら、
あなたの会社で失われるのは何?

そんなふうに。

もっとも、

「なくなったとき」

なんて、嫌な問いかけですよね。
場合によっては、
精神を揺さぶられる
危険な問いかけです。

根本的な存在意義を問われますし、
不安を呼び起こしてしまうかもしれません。

しかしこの問いに、
真剣に向き合うときにこそ、
真の理念や価値は生み出されていきます。

あたりまえだと思っていた。
でも、あたりまえじゃないと思ったとき、
絶対なくしたくないこと、
絶対に大切にしたいこと。

真の理念や価値とは
そういうものではないでしょうか。

「あなたの会社やあなたは、
あってもなくてもどちらでもいい。」

もし人からそう言われて
心がざわめいたとしたら、
反転の問いかけチャンスです。

「それでも、
わたし、わたしたちが
大切にしたいことは何なんだろう?」

貴社だけの
貴社の最高の可能性を秘めた、
理念や価値がうまれる瞬間です。

執筆者紹介

オフィスオントロジー
代表 友成治由

人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家

10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるメンターメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。

哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。

経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など

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