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人材育成/人材開発

真のリーダーとは。野村監督「野村再生工場」に学ぶ人材育成

目次

野村監督の言葉

野村監督は言います。

「人間のいいところ、
その可能性を見つけるということが
人生そのものじゃないか」

2020年2月11日。
野村克也監督が84歳、
心不全でお亡くなりになりました。

この言葉はその日たまたま
NHKニュースで見かけた言葉です。

ふと目にとまり、
そのまま体も数分止まって
感じ入ってしまいました。

わたしは熱心な野球ファン、
というわけでもありません。

南海でもヤクルトでも楽天でも阪神でもと
ファンでもありません。
(ゆるい広島カープファンです…)

野村監督のことも
たまに見る野球ニュースでしか知りません。

とはいえそんなわたしにも、
やっぱり存在感ある人でした。

「ぼやき」はついつい聞き入ってしまいますし、
くすっと笑ったり感心したりしていたものです。

野球人としての野村監督よりも、
その野村監督の思考法や分析を
「野村ノート」など、
そういう言葉の方が
印象に残っていました。

配球の組み立て、
打者、投手の場面ごとの心理状態など
ひとつひとつ読み解き、
考え、明確にしていった。

野球の表には見えない部分の
奥深さを洞察する。

どういう前提、どういう考え、
どういう心理状態があって、
いまこの展開をしているのか?

そちらの方が
おもしろく感じていました。

野村再生工場に見る真のリーダーの在り方とは?

「野村再生工場」という言葉。

この言葉もすごいですよね。

そのやってきたことの凄みは、
わたし自身がいま
組織活性化や人材育成など
「人」に関することをしているために、
ますます、年々、驚かされます。

他の球団では芽が出なかった選手、
思うように伸びずに
キャリアもあきらめそうになった選手。

野村再生工場では、
そんな選手たちのこれまでが
まるで嘘みたいに、
次々に第一線の一流選手として
グラウンドに送り出してきたのです。

社員や部下やスタッフを
抱えてきた経営者やリーダーならば
この凄みが多少は
共有できるのではないのでしょうか。

人間というものは、
思うようにいかないことがほとんどですよね。

「キレイゴト」では、
みんな違ってみんないいと言いながらも、
いざ、できない人、ダメな人を
目の当たりにするとげんなりして、
どっかへ放り出したくなるときもあります。

やはり組織には
達成すべき目標やゴールがあります。
だから目標達成の足をひっぱるようにみえる
社員と接するときのジレンマは、
胃がキリキリする思いです。

しかし野村監督は、
そのジレンマを乗り越えて
どんどん再生させていった。

野村監督の心の内を、
補助線をひいて理解するのであれば、

「人間、思うようにならないのがあたりまえ。
それをどうにかするのが監督じゃないか。
真のリーダーじゃないか。」

という思いはがあったのではないでしょうか。

できなかったり、ダメそうに見える人が
いることこそあたりまえ。

組織は人間同士の集団ですから、
トップからビリまであります。

そのときにビリの人に
「できないやつだ」といって
あきらめてしまうのは
凡人でもだれでも簡単にできること。
真のリーダーがやることじゃない、と。

ある視点でみればビリでも、
別の視点で見ればトップで
あることはいくらでもある。

それを見抜くのがリーダーだ。

悩む本人に「自分で気づけ」なんて言っても、
悩みや苦しみの最中にあるのだから
むちゃというものだ。

だからこそリーダーがいるのだ。

リーダーこそが、
その人をもっとよく見て、観てあげる。

そして、その人がトップになれる、
エースになれる、活躍できる。
そんな別の視点を見いだしてあげることこそが、
本当の腕の見せ所である、と。

そもそも野村監督自身、
王選手、長嶋選手が太陽ならば、
自分は道端にさく月見草だと
自分を一段低くおいていました。

そして、そうでありながら、
努力と独自の分析を重ね、
偉大な月見草として
数々の記録をつくってきました。

野村監督は
「強者」がいる現実を知っていました。
ただ、その現実と、
「弱者だからできない」という
言い訳を結び付けなかったのです。
「弱者」でも勝てる、育つ方法を
身をもって生涯追い続けたのでした。

現実はある。そこであきらめるか、それでもやるか。

もちろん、野球は9人しか
グラウンドには立てません。

またプロの監督を引き受けるからには
勝つことがシンプルに命題です。

選手候補は、一軍だけでなく
二軍にも何十人もいます。
みんなが必死に一軍を目指しています。

だから
「弱者」の地位から這い上がろうと
血のにじむような努力を重ねている選手や、
どんなに手間をかけて育てたとおもった選手でも、
最終的に9人にはいる実力が無ければ、
ときには涙をのんで外す決断を
することも多くあったでしょう。

「野村再生工場」の裏には
結局表舞台に出ることのできなかった
数多くの選手もいることと思います。

だから、

「どんなに努力したって、
ダメなものはダメなんだよ。」

という世間の心ない冷笑は
誰よりも多く受けてきたことでしょう。

でも、だからこそ、
野村監督は、

「人間、思うようにならないのがあたりまえ。
それをどうにかするのが監督じゃないか。
真のリーダーじゃないか。」

と自分自身に問いかけ続けて
来たのではないかとわたしは思うのです。

あなたは何を残しますか?

野村監督は次のことばも座右の銘にしていたそうです。

「財を残すは下、事業を残すは中、人を残すは上なり。
されど、財なさずんば事業保ち難く、事業なくんば人育ち難し。」

野村監督が亡くなって、
これまでさほど意識しなかったその存在が、
わたしのなかで
意外に大きかったことに驚いています。

表舞台に出られなかった選手たちも、
自分の可能性のために尽力してくれた人との
出会いは一生の宝物でしょう。

その後にも長く続く人生において、
自分よりも自分のことを信じてくれたひとのためにも、
自分自身をあきらめるということは
決してないと思うからです。

「人間のいいところ、
その可能性を見つけるということが
人生そのものじゃないか」

いい、言葉ですね。


P.S.
これからもブログをお届けしますので
お忘れないようブックマークしてくださいね。

執筆者紹介

オフィスオントロジー
代表 友成治由

人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家

10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるチェンジメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。

哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。

経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など

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