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人材育成/人材開発

唯識仏教。人を目覚めさせる人材育成最古の深層心理学

世界は、意識でできている。世界最古の深層心理学はそういいます。

この知恵は、現代の「人を育てる」「人の可能性を発揮させる」にそのまま直結していますから驚きです。

目次

世界最古の深層心理学

「唯識」という仏教の教えがあります。

唯識とは大雑把に言えば、唯一意識のみ、という意味。

つまり意識が世界をつくる。
むしろ、世界は人の意識そのものだ、という考え方です。

世界最古の深層心理学と呼ぶ人もいます。

意識をみつめ、表面だけでなく、無意識にまで
階層を深くして観察していきました。

唯識にとって、
ヨガや瞑想は、
そんな無意識の最奥部にいたる道なのです。

唯識はまともに学ぶと一生終わらないものではあるのですが、
心理学に似ているので(というより最古の心理学ですので)、
そのエッセンスは現代人にも伝わりやすいと思っています。

唯識に学ぶ心の構造

ここでいう意識とは、
いわゆるわたしたちが一般に考える、
想像力や判断力といったものだけでなく、
見る、聞く、匂う、味覚、触覚などの
五感の働きも含まれます。

現代では、表面意識とか、自我とか呼ばれているものと
大体似たようなものですね。

その下に、末那識(まなしき)というものがあります
これは、意識されずしては働く部分です。
ユングで言う個人的無意識のようなものですね。

さらにその下に、
阿頼耶識(あらやしき)というものがあります。

人間のすべての意識の元となるいもので、
無意識の一番奥にあるもの。

ユングで言うところの
集合的無意識に近いといえるかもしれません。

さて、その阿頼耶識に「種子」があると
唯識では言いっているのですね。
(「しゅうじ」と呼びます。)

表面意識で経験したいろいろなことが
この「種子」に蓄えられ、
また「種子」が表面意識にも影響していきます。

意識=世界、ですから、
この「種子」がもたらすものを大切にすると悟りに至る、
とこういうわけです。

(ちなみに、あの西遊記で有名な三蔵法師の専門は、
この唯識仏教なんですよ。)

唯識からは人材育成の本質が見える

唯識は、
難しい理論は別にしても、
イメージとしてとらえると
人間をわかりやすくいい方向に導く、
とわたしは実感しています。

社員や部下を育てると想像してください。
これからチャレンジしようとしている
あなたの仲間でも構いません。
子どもでも大丈夫です。

だれかに
「気づかせたい、成長を促したい」

と思うとき、わたしたちは、

「いい考え方だ、悪い考え方だ」
「アドバイス内容が良い、悪い」
「やさしくすべき、いや厳しくすべき」

などなど、議論百出です。

社員育成でも、
やり方や理論は実にたくさん。

子ども向けや大人向けの違いでも、
いろんな育成方法がありますよね。

こういった議論から出てくる育成方法は、
とても有効で役に立つものもたくさんあります。

だから有効な方法を様々に探して回るのも
ひとつの道でしょう。

ただ、現代で議論されている
百人百様の育成方法は、
本質的にはすべて同じ。

唯識からそう読み取れるのです。

いや、正確に言えば、
「本質的にはすべて同じ」と
仮定して
あることをイメージして
相手に接すると、

不思議なことに、
相手は自然と
気づきや自己成長を得ていくのです。

種子をイメージする

それでは、
どんなことをイメージすればいいのでしょうか?

それが前に出てきた

「種子」

です。

思い切って四捨五入すると、
人間が意識の奥深くにもっているものを

「種子」

とイメージして人に接すると、
相手は不思議と、
自己気づきや自己成長を得ていくのです。

こんなイメージです。

人間の奥には「種子」がある。

その種子にはいのちの力がある。

根を伸ばして、芽を出して、
茎や枝葉の伸ばし、
太陽の光をいっぱいに受け、
まっすぐで堂々とした大木になる。

そんな、大木になる未来を、
「種子」の中にすべて持っていると
イメージするのです。

わたしたちに必要なのは、
その「種子」がもっている本来の力で
すくすく伸びやすくするようにするだけ。

ちょっと芽が伸びたときには、
芽が自分の力で伸びるように、
そっと水を上げたり、
太陽にあてたりするだけです。

芽を無理やり引っ張る必要はありません。
そうすると小さな芽はちぎれてしまいます。

種子に内在する力を信じる

人が成長する力を
「種子」とイメージすると、
わたしたちに必要なものは何かが見えてきます。

種子には
そもそも自分で成長できる力が
内在しています。

だからわたしたちがやることは、
相手が「自分で成長できる」という
力を信じ、未来を信じることです。

あなたの無条件の信頼は、
相手にも必ず伝わります。

相手に伝わるから、
相手も安心して
まっすぐに自分自身の本来の力や
魅力や能力を発揮していけるようになるのです。

「種子」の力を信じる。

それ以外に特別な方法論はない、と
唯識からは学び取ることができます。

それだけを得心できれば、
あとはそのときそのときにやりやすい
理論や方法をもってくればいいだけです。

「種子」のイメージを持ち続けると、
あなたと相手の目に見えないレベルでの
つながりができてきます。

人はそれを
信頼と呼んだり
愛情と呼んだりするでしょうが、

唯識でいえば、
阿頼耶識レベルでのつながりができる
と言えるのでしょう。

あの人はわたしの「魂」を見ている

ユング心理学を日本に広めた河合隼雄さんは、
さまざまな問題を抱えた子供や大人の
カウンセリングをおこなってきました。

あるとき、
世間では「とんでもないヤツ」と
レッテルを貼られた子供が
河合隼雄さんのところに来たそうです。

河合さんは、
ただふんふんと聞いているだけでした。
特別なことは何もしていませんでした。

しかしカウンセリングが終わって家に帰ると、
そのクライアントは家族にこう感想を述べたそうです。

あの人は、わたしの表面は見ていない。
わたしの魂を見ている。

と。

ユング心理学も
最古の深層心理学である「唯識」も、
心を奥の奥にまで掘り下げたもの。

見ているところは同じなのですね。

まとめ~目に見えないことを信じる

種子といっても、魂といっても、
呼び方はなんでもいいのかもしれません。

唯識やユング心理学から学び取れるのは、
目に見えないレベルを信じられるかどうかです。

社員を育てるというとき、
ついつい目に見える「できなさ」や「ダメさ」に
注意を向けてしまいます。

でもその社員も、
目に見えないレベルでは、

「もっと成長したい」
「もっと気づきをえたい」
「もっと貢献できるようになりたい」

そんな、本人も気づかないうごめきを
抱えているのかもしれません。

わたしたちが相手に接するときは
その本人も気づかないレベルのうごめきに
しっかり目を向けていく必要があります。

ひとは自分を信じてくれるひとがいるだけで
勇気がわき、脱皮できるものです。

あなたの会社の社員たちの
目に見えないレベルを信じて見ませんか?

執筆者紹介

オフィスオントロジー
代表 友成治由

人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家

10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるチェンジメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。

哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。

経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など

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