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ど真ん中記事。なぜ社員育成には“本質”が最重要なのか?

人は本質に触れたときに、もっともイキイキする。

 

確信をもっていえます。

 

イキイキする、というのは会社ならば、自分の仕事に邁進したり勉強したりチャレンジしたりが楽しくなります。だから、急速に成長していきます。そのために本人や組織の雰囲気が明るく活気にみちてきますので、さらに好循環が回るということになります。

 

ひとには、どんなひとでも、今よりもすこしでもよい人生を送りたいという欲求があります。

よい、というのは生活水準的なこともありますが、それ以上に「よい人生」「意味のある人生」を送りたいという欲求です。

 

ひとを成長させる、活気づかせるというのは、この「本質に触れる」をいかに味合わせてあげられるかにかかっているといっていいでしょう。

目次

一番できない新入社員

わたしは「一番できない新入社員」と呼ばれていました。
新入社員時代にある会社に入社して、はじめはシステム・エンジニアからスタートしました。

しかしながら、研修やその他、習っていることが、よく理解できなかったのです。知恵熱まででてきたくらいでした。自分でいうのもなんですが、なんでこんなに入ってこないんだろうと不思議に思っていたくらいです。

「君が一番できない新入社員だ。なんとかせよ。」と社長直々に言われる経験は、今となっては貴重な笑い話ですが、当時は大事です。

「この会社でもつかな…」

そんなことを考えていたとき、ある小さなプログラムを組む仕事をしていました。
ちょっとできる人ならば1時間もあれば終わるものです。

しかし当時のわたしは、ウンウンうなりながら丸一にかけてようやくできるかどうか。
ずっとパソコン画面をにらみながら、ようやく仕上げようとしていたときのことでした。ある先輩がふとわたしの横を通ってちらりと画面をみながらつぶやいたのです。

「君のこれが、お客様を支え、お客様のお客様を支え、日本を支えているんだよなあ」

わたしに諭すわけでもなく、何気なくつぶやいたこの言葉がわたしの転換点になりました。

「わたしは、“こういう仕事”をしているのだ!」

ビビビっと電機が体中に走った感覚があり、目の前に一挙に日本全体が広がった光景が見えました。
大げさではなく、それくらいの感覚が一瞬にして駆け巡ったのです。
わたしはそのとき、仕事の意味、この仕事の意味をはじめて実感したのでした。

そこからわたしの社会人人生、この会社でやっていくぞという意識が変わりました。
不思議なことにそれからは、理解が滞っていたものもスーッと頭に入ってきて、できるようになってきました。翌年には、全国規模のシステムのデータベース設計を担うくらいになっていたのですから、自分でも驚きしかありません。

急速に可能性が広がり成長できた理由

はじめのうち、なぜあれほどまでに頭に入ってこなかったのか。

それは「意味」が分からなかったからでした
プログラミングやその他といった表面的な業務知識は学ぶのですが、

「なぜそれをやるのか」
「なぜこういう仕組みになっているのか?」
「わたしは本当は何をやっているのか?」

そういったことが、まったくリアルな実感して頭にも体にも感じられてこなかったからでした。学校の勉強でいえば、ひたすら年号だけ暗記しているような感覚でしょうか。

もちろんそれがあれば、とりあえず目の前の業務はできます。できますが、目の前しか見えない状態なので、それ以上の意欲もわかず、それ以上頭も理解しようと思わないのですね。

つまり当時のわたしとしては、パソコンで文字は打っても、それ以上何をやっているのかがわからなかったわけです。
しかしその先輩の一言でつながりました。
いまやっていること、学んでいること、悩んでいることがひとつの軸でつながったのですね。

「本質」に気づかせてもらったのです。

本質に気づいたら、「目の前」しか見えていなかった状態が急に軽くなりました。
本質の視点は視座を高くし視点を広くします。
自分が次に学ぶこと取り組んでいくことが、より広く見えるようになったのです。
可能性が広がった、といってもいいでしょう。

この感覚なのです。
本質に触れると、イキイキするというのは。
自分と世界(会社、組織、人間関係、生きている世界)の可能性が一挙につながって広がるのです。

本質に触れる人と触れない人の違い

本質に触れると、人は最高の力を発揮し始めます。
もともとの適性などの差はあっても、その適性を最大限発揮するようになるのです。

たとえば、お客様対応であっても

「お客様がこう言ってきたら、こう返す」

としかわかっていない人と、

「お客様がこう言ってきた。それはなぜだろう?その背景には何があるのだろう?」

こう考えられる人との違いは歴然ですよね。

前者であれば、それ以上の場面には応用ができませんし、いつまでのその目の前の「対策」テーマでしか成長はありません。

しかし後者の場合は、それ以外の場合にも応用することができます。お客様の表に出る発言の奥から、すべてのお客様に共通することや見えなかった新しいニーズをつかみ取る可能性が非常に高い。

だから本人としてもその本質を見据えながら、よりよい対応、よりよいサービスなど「固定的な対策」以上の良さを生み出すことができます。それは可能性が広がるという、震えるほどの創造性のよろこびとなります。さらに生産性や成果を高めていくのですね。

人は本質に触れると可能性を感じ、創造性を発揮するのです。

本質はお説教ではない

ここでちょっとだけ難しいのは、残念ながら、本質に触れさせているようで、「お説教」に終わっていることが多いのですね。

たとえば「お客様の背景を考えることが大切」というのは確かに本質的なことなのですが、上から下への一方的になった瞬間に、「お説教」になってしまうのです。

「「お客様の背景を考えることが大切」と“上司に言われた”」知識、になってしまうのです。

これは、本質を学んだようで、実は、上司の言葉をとりあえず仕入れただけという「目先の対策」と変わらないのですね。

本質というのは、自分自身で考え実感する必要がある。
それが、難しいところであり、腕の見せ所なのですね。

だから本質に触れさせたい、と思う側(育てる側)は、相手自身に考えてもらえるようなきっかけをいかに作れるかが勝負となります。

主役を相手側において、相手側が考えたくなるように、相手側がそれを考えることでワクワクしたり、可能性を感じたりしてくれるように、きっかけを与えることが育てる側の役割になるのですね。

本質に気づいてもらう例

ある子供の授業では「俳句」を作らせるというものがありました。
子どもたちは、5・7・5で季語を入れて作るという簡単なルールだけ教えてもらって銘々につくります。
子どもたちがつくったものだから、感性豊かだ、それを褒めてよしとしよう!

というわけではなかったのですね。
もちろん子供たちの俳句の良いところを褒めながら、さらに可能性を見せてあげたのです。

ここで子供たちの作ったものと、本来の良質な俳句を見比べさせました。

子どもたちは良質な俳句を見て、考えます。
何かわからないけど、確かに自分の作ったものと違う、と。
そこからさまざまな意見を出してもらったり、視点を与えたりして、良質な俳句にあった「本質」に気づかせるようにしたのですね。

子どもたちは、俳句とは単に季節の言葉をつかった5・7・5という「表面上の形」ではなかったことに気づきます。
なぜ季語を使い、なぜ5・7・5のリズムになっているのかに気づきます。

そうしてから、もう一度俳句を作ってもらうと、「季節」に代表される、物事の一瞬の移り映えをつかみ取るという本質にたって、良質な俳句を次々に生み出していったのでした。

子どもたちはそれにより、ただ俳句作る、だけではなく、俳句を通じて世界の美しさ、面白さ、荘厳さなどを感じ取ったのでした。
本質に触れることで、より世界の可能性をみずからの創造性をもって感じ取ったのでした。

人は本質にふれたときもっともイキイキする

仕事もまったく同じです。

目の前に次々展開する日々の業務を通じて、一体何を学び、つかむのか。
それよってまたよりよい仕事として成長し、反映し、次なる可能性を生み出していくのか。
そんな、考えたり感じたりするきっかけをどのように与えていくのか。

もちろんいわゆる一般社員だけでなく、経営者や上司にあたるひとほど、自分の業務にとらわれず真摯に「本質を考える」ことが大切だと感じます。

ひとは本質に触れたとき、もっともイキイキします。
可能性がひろがり、創造性を発揮し、よりよいものを生み出していきます。

まだまだあなたの会社の社員にはすばらしい可能性が秘められています。

思いっきり引き出してあげませんか?

P.S
これからもお忘れないようブックマークをお願いします。

執筆者紹介

オフィスオントロジー
代表 友成治由

人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家

10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるメンターメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。

哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。

経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など

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