驚く体験談。ある方法で8年間ダメ⇒2週間で目的達成できた
きっとあなたの「目的実現」にとっても、役立つことが大であると信じ、個人的な体験談をシェアしますね。
実はわたくし、28年間「将棋3段」でした。
28年間、3段を保ったわけではありません。
28年間も4段になれなかったのです。
ところが最近、ついに「4段」に昇段しました!
今回の将棋対局場所にかぎっても8年間、4段を目指しましたが、まったくダメ。
でも今回お伝えする方法をはじめてから、なんとたった2週間で実現してしまったのです。
4段になる過程で学んだ、望む結果を得る方法。
きっとあなたの会社やあなた個人の目的達成のお役に立つこともあるかと思いますので、シェアさせてください。
(4段になった喜びを自慢したい、という密かな欲望はお許しを…)
目次
- ○ 苦節の日々
- ○ 4段になろうと決めた、のですが・・・
- ○ 強みと弱みの見直し
- ○ 力の入れ所
- ○ メンタルの問題
- ○ 実はもうひとつの決定的要因
- ○ 最後に
- ・執筆者紹介
苦節の日々
今回4段になったのは、「将棋ウォーズ」という対戦アプリです。
全国の猛者たちとオンライン対戦ができますし、そこで得た段位は日本将棋連盟で免状取得もできます。
わたし自身は中学生の頃から将棋にのめりこみ、高校の時には県で3段までいきました。
当時年一回、県下の3段同士が集まって4段昇段を決める「4段戦」があったのですが、なんとわたし、その決勝で反則負けをしてしまったのです。
高校三年生でしたが、あまりにも悔しくて情けなくて、もう人目もはばからず泣いてしまいました。
それ以来、ずっと3段のままだったのです。
大学でも将棋部でしたし、社会人になってからも上記のようなアプリをつかって4段に挑戦はしていましたが、どうしても壁を越えられません。
3段もつよい部類ですが、感覚で言えば中の上。
4段は一般的には県代表クラスの段位ですので、4段になると「強豪」といっていいかと思います。
将棋をやってきた身からすると、4段は憧れです。
4段をとって「一人前」。
「強豪」というものになってみたいわたしとしては、ずっとそんな気持ちでした。
やっぱり達成してみたかったのですね。
4段になろうと決めた、のですが・・・
ということで、2022年、なんとか4段になろうと決めました。
冷静にみれば、それまでにすでに4段クラスの実力はあったと思います。
とはいえ実力4段でも、称号4段を獲得するには、そのバーを越えなければいけません。
これが越えられなかったのですね。
「将棋ウォーズ」はレーティング方式といって、勝てば点数がつき、負ければ点数が減る。
一定の点数を越えたら段位獲得、という方法をとっています。
強い人に勝てばそれだけ多く点数がつきますし、弱い人に負けたら大きく減ります。
対戦相手は、現状の自分の点数にあわせてAIが自動でマッチングしてくれますので、バランスよく対局でき偏ることはありません。
「将棋ウォーズ」は、3つの対局モードがあります。「10分切れ負け」「3分切れ負け」「10秒将棋」の3つ。それぞれで段位を獲得できます。
「10分切れ負け」「3分切れ負け」とは、持ち時間がそれだけしかなく、その範囲では何秒考えてもいいのですが、使い切ってしまうとたとえ局面は大優勢でも時間切れ負けとなります。
10分ならそれなりという感覚ですが、3分だとほとんど考える余裕はなくスピーディーに進みます。
10秒将棋とは1手10秒内で指すもので、10秒内で指し続ける限り切れ負けはありません。どんなに難解な場面でも10秒しか考えらませんが、総残り時間を気にする必要はないので、200手以上など長く続く場合もよくあります。
わたしは、「3分切れ負け」をずっとやっていました。
社会人でもあり普段時間がないので、隙間時間にやるという感じです。
実際、将棋ウォーズの利用者は、3分切れ負けモードを選んでいる人がもっとも多いのではないでしょうか。
わたしはこの3分切れ負け、何年もやって累計何千局に達していますが、ずっと3段のままだったわけです。
試行錯誤はしましたが、2022年11月までは相変わらずのままでした。
さて、4段を獲得するにはどうすればいいか。
わたしは12月1日から、これまでの方法を変えることにしました。
強みと弱みの見直し
まずは「4段の称号を取る!」という目的・目標を明確に定めました。
目的と目標という言葉の違い、ここではあまり気にせず使いますね。
「将棋の強豪となる」という目的があり、「4段の称号を取る!」という目標を定める。
これが本来の姿ですが、「将棋の強豪となる」という目的のためには、必ずしも4段の称号が必要というわけでもありません。
今回のわたしの気持ちとしては、それでは心がブレると感じました。
ですので、もう今回はとにかく「4段の称号を取る!」自体を目的であり目標と定めたのです。
それが達成できれば、心穏やかに成仏できます。
そのために何をすればいいのか?
もっとも有効なものはなんなのか?
まずは現状を冷静に見てみると、4段の実力はあるはず、またはすくなくとも4段を獲得できるだけの基盤はあるはずです。
負けた対局をみても、4段5段相手でもおおよそ互角か優勢になることも多いのです。
まず自分がどの位置にあるのかを確認しました。
そのうえで強みと弱みをあらためて見つめ直しました。
細かく洗い出してはいるのですが、ざっとまとめると
・王様を囲いながら厚く進めて戦機をつかむ将棋が得意
(矢倉、角換わり系、対振り飛車持久戦)
・飛び道具主体の軽やかなフットワーク将棋はうまくない
(横歩取り、相がかり系、対振り飛車急戦)
これまでは、何千局もやると飽きも来るし、楽しむためにはといろんな戦型をやっていたのですが、4段になるという目的を達成するために、得意な戦型や戦い方に絞りました。
また負けるときのパターンとして、序盤でフットワークの軽い技をくらってそのまま不利になることが多い。
とにかく序盤で不利にならないように、序盤の細かな相手の動きに注意深くするようにしました。序盤は互角で、厚く進められる展開にもっていく方針を定めました。
「自分の力が発揮できる展開にもっていく」
まずはこれを忘れないようにしました。
力の入れ所
レーティング方式は勝てば点数がもらえるのですから、理想をいえば全勝すればいい。
とはいえそうはいかないから、これまで3段で停滞中だったわけです。
わたしは、「レーティング方式」というルールの特性をあらためて見直しました。
レーティング方式というルールには以下の特性があります。
自分より強い人に勝つと、多く点数がもらえるが、負けても少ししか減らない。
自分より弱い人に勝つと、少ししか点数がもらえないが、負けると多く減っていく。
(※強い弱いは自分より点数が高いか低いかという違いです。ここではわかりやすく強い、弱いという言葉で進めますね。)
この中で、もっとも影響が大きいのは何か。
それは「自分より弱い人に負けること」です。
弱い人に負けるとごっそり点数を持っていかれますが、弱い人に勝っても少ししか取り戻せません。また強い人に勝つ確率はやっぱり低い。
それまで強い人と対戦するときには「やるぞ!」と力をいれて集中し、弱い人とあたったときは「まあ、勝てるでしょう」と、時には注意散漫でやっていましたが、まったくの間違いでした。
弱い人と対戦するときこそ、全力で集中してやらなければならなかったのです。
弱い人には集中さえすれば、ほぼ高確率で勝ちます。
そうすれば、少しではあっても確実に点数はあがります。
強い人に負けてもそれほどは下がりませんから、強い人との対戦は対局数全体からいえば実は影響度はそれほど高くない。
「ライオンはウサギを全力で仕留める」
というわけではありませんが、
「ルール上もっとも影響力がある箇所をしっかり抑える」
ことを意識しました。
メンタルの問題
これはとても大きい問題でした。
とくにある気づきが、最後の最後、4段への道を突破できた理由だと感じています。
メンタルを、あえて頭と心にわけたとすると、まず頭の部分から。
将棋って、やっぱり頭脳ゲームですから、何局もやると頭が疲れるんですね。
後半の方は、頭がぼーっとして集中力も途切れてしまう。
そんな時に凡ミスもでますし、弱い人にもよく負ける。
また「将棋は寿命を縮める」とも巷で言われるように、勝つとうれしいのはもちろんですが、負けるととにかく悔しい。逆転負けなんてした時には、脳みそが沸騰してなりません。
そんな技の掛け合いや逆転劇が起こるのが将棋の魅力ですが、頭がそれに振り回されては実力が発揮できません。
ですので、集中力や沸騰度合いをつねにモニタリングしながら、頭がぼーっとしたり騒がしい状態のときには、クールダウンをするように意識しました。
流れにのっているフロー状態のときは、そのまま行く!
しかしフロー状態が薄れていると感じたら、そこで止める、またはクールダウンの時間です。
またしっかりと集中できるように、できる限り邪魔の入らない場所や時間帯を選んで指すようにしました。
「頭が最高度に働いた状態でミッションを遂行できるようにもっていく」
というわけです。
そして、もうひとつ、心の部分です。
これが、最後の最後に、もっとも影響を与えていたものでした。
点数の達成度合いが50%くらいまでは、それほど影響はありません。
70%くらいになると期待感は増しますが、それくらいならばいい緊張感です。
しかし85%くらいから、妙なことに気づきました。
流れに乗っているから続けようと考えもしながら、なぜか「まあ、明日でもいいか」と妙に将棋をやりたくない気持ちになっていたのです。
なぜだろう。
いまは頭も集中しているし、手もよく読めている。
このまま進めばいいじゃないか。
そう頭ではわかっていても、心が抵抗しているのですね。
そんなことに気づいたので、いったんクールダウンをといったん中断しました
冬でよかったのかもしれません。
夜風がわたしを冷静に見つめさせてくれました。
その抵抗感の正体は、「恐怖」でした。
将棋に負けるんじゃないか、という恐怖ではありません。
やっぱり自分はできないんじゃないかという恐怖。
ダメな自分を認めたくないという恐怖です。
もし、わたしが人生ではじめて85%くらいにたどり着けば、もうイケイケどんどん、勢いのままに指し続け4段ゲットへ一直線だったでしょう。
しかし、わたしは、17歳のときに失敗して以来、なんども4段獲得に失敗し続けています。過去にもなんとか80%、85%くらいに一瞬届いたとしても、そこから負け続けていました。
過去の記憶が無意識に心を脅かしていたのです。
さらにいえば、称号4段ではなく、実力4段ならばまあ周りもある程度認めていると思われますから、自分のプライドを保つことはできます。「わたしは4段はある」と。
でもここで負け続けて失敗してしまえば、そんなプライドさえ崩壊してしまいます。
「やっぱりわたしはダメだった」「本当はアイツは4段はなかったんだ」
羽生善治さんは「経験で得るものも多いが、ときにはすべて捨て去らなければならない」とも語っていますが、わたしにとって過去の記憶と、これまで築いてきた「実力4段」がソレでした。
そんな自分の「心の無意識の抵抗」に気づいたわたしは、ここで決意しました。
(というと大げさのようですが、その時はそんな「決意」の気持ちでした。)
「負けてもいい、何度失敗しても、また立ち上がろう」
「これから先は強い人が来てもかまわない。来い。だれが来ても全力で立ち向かう」
「自分を信じよう。つよい自分ではなく、どんなときでも立ち上がり全力を出せる自分を信じよう」
もう、過去や現代の偉人たちの言葉や生き方を総動員です。
それらを自分自身の言葉にしました。
その後、格上の強い相手とも対戦しましたが粘って逆転勝ちしたり、とにかく一局一局に集中。
見事、4段を獲得することができました。
「わたしたちは、メンタル的存在である」
苦節28年だけに、今回はとにかく実感しました。
実はもうひとつの決定的要因
実は、これまであえて話題には触れていなかったのですが、今回4段をできる限り最速で獲得できた最大の要因があります。
それは・・・
「10秒将棋でやったこと」
でした。
もともと4段、5段と指してもそれなりに互角のはずなのに、「3分切れ負け」で何千局もやっても点数が上がらないのは、「時間切れ負け」が多かったからなのでした。
「時間切れ」は将棋の内容ではなく、早く指せるかどうかの要因が大きく、弱い人に99%勝っていても時間切れで負けることはしょっちゅうでした。
これまでは切れ負けをしないように、時間早く指す、という対処法をしていましたが、それはわたしの強みでも実力が発揮できることでもなかったのですね。
ですので、切れ負けのない「10秒将棋」でやったら、本来の実力をそのまま出せたわけです。
「友成の問題は時間だよ」とは、実は周囲の友人からも何年も言われていました。
わたしも上記のとおり自覚もしていました。
でも、「3分切れ負け」にこれまで年数を費やしてきたことや、10秒でやってもダメだったらやっぱりダメの烙印を押してしまうことになるという心の無意識の抵抗感から、10秒をやらずにいたのでした。
今回、「とにかく4段を獲得する」を目的に定めました。
その目的のために、自分の実力をもっとも発揮できるには? という戦略をたてたのですね。
戦術とは「何を」であり、戦略とは「どこで」とわたしは整理していますが、まさに戦うフィールドをわたしの強みとするところに変えたのですね。
「戦術よりも戦略が大事」
だったわけです。
また戦略を採用するにも、「4段を獲得する!」という目的(-切実な想い-)がなければ、過去の遺産や心の無意識の抵抗感を乗り越えられなかったのですから、「目的を定められるという自分の心」も同じくらい大切だとわかりました。
本当にこれをやろうと思うまで、長かった…
こちらも役に立ちます(「使える「戦略」と「戦術」の超シンプルな違い」)
最後に
熱く、かつとらわれのないマインドで目的を見すえ続け、
自分の強みをもっとも発揮できる所や事に集中し、弱みで勝負をしない
という戦略を立て実行すれば、(最速で)事を成すことができる。
つくづく実感しました。
これまでの総体局数や年数が如実に語っています。
「3分切れ負け」は12,874局(執筆時点。何千どころじゃなかったですね…)でしたが、「10秒切れ負け」は、なんとわずか160局で4段を獲得できました。
あえて数値にすれば、80.4625倍早く実現できたわけです。
もともと28年間。
将棋ウォーズをはじめてからでも8年間も変わらなかったものが、たった2週間で実現できたのです。
本当に勉強になりました。
わたしはふだん人財育成を通した企業の成長を支援しています。
いつも
「大切なことを大切にしよう」
とは言い続けてはいますが、あらためてマインドの面からも、戦略の面からも、その言葉を堂々と言い続けながら支援していこうと思います。
今日のお話はごく個人的な話ではありますが、わたしにとっても個人的な話をこえて学びの多かった出来事でした。
あなたの実現したいことへ、多少なりともお役に立てれば幸いです。
こちらも役に立ちます(「一言で社員のやる気を変えられるリーダーの言葉術とその秘訣とは」)
執筆者紹介
オフィスオントロジー
代表 友成治由
人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家
10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるチェンジメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。
哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。
経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など
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