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人材育成/人材開発

いち早く新人(若手)社員のやる気を育てる感動体験の方法

新人や若手社員に、少しでも早くイキイキと仕事にコミットして頑張ってもらいたいものですよね。

 

もちろん朝礼や会議などで心構えを教えたり、研修で社員としての在り方を学ばせたりするでしょう。

 

しかし、もっと強く目を輝かせてコミットして仕事に取り組んでほしいと思うならば、「感動体験」は、ぜひとも意識してみてくださいね。

目次

今どきの若い者は…?

花薫り、緑風さわやかな4月、そして5月にむけてはとても好きな季節です。
新入社員はもちろんはじめての仕事として、2,3年目の社員でもまた新しい気持ちで次のチャレンジに向かう心意気に溢れています。

新入社員も含めた若手社員(以下、若手社員)について、新聞・雑誌やネットの記事では問題点や困ったところばかり目にすることもあります。
もちろんそのような側面もあるのでしょうが、問題の方が注目を得やすいので記事にしている面も多いのでしょう。

実際の多くの若手社員は、わたしの見る限り、可能性にあふれています。
世代によるライフスタイルや価値観の違いは当然あるとはいえ、「やる気」「成長したい」「貢献したい」という思いは、昔も今も変わりません。

むしろ世代によるつい目についてしまう違いばかりにとらわれて右往左往しているのは、わたしたち側ではないのかな、と感じるくらいです。

人は、どんな時代も人です。
5000年前のエジプトのピラミッドの落書きにも「最近の若い者は…」と書かれてあったくらいですから、まあ、若い者には何かしら言いたくなるのが人情ってものです。
それにわたしたちが振り回されるのではなく、人が本来持っている「やる気」「成長したい」「貢献したい」という、変わらぬ思いの方にフォーカスしていきましょう!

わたしも研修やコンサルティング等でいろんな社員と接する機会がありますが、「やる気」「成長したい」「貢献したい」など、私たち側がそれを信じて、そこにフォーカスして接すると、かならず若手社員たちも頼もしく応えてくれるものです。

この時期若手社員に対して考えたいこと

とはいえ、多くの会社で「若手社員からやる気を感じられない」と悩んでらっしゃるのも事実です。実際に経営に部の運営に影響しますから、喫緊の課題としてほうってはおけませんよね。

その課題に対して、「最近の若い者はダメだ」ではなく、「最近の若い者は、見込みがあるな!」にしていくのによいのがこの時期です。

つまり、物事が始まる時期、チャレンジを始める時期。
そう言った意味では4月5月という具体的な月にはこだわりませんが、春はなんといっても日本では心新たになってしまう時期ですので、考えるのには最適です。

5月頃になると、5月病と言う言葉も出てきます。
あらっぽくいえば仕事にイキイキとコミットする姿が見えづらくなる現象ですね。
GW明けの一時的なものだけではなく年間も続きそうだと、これは問題です。

環境的な原因はさまざまにあるでしょう。
でもここで重要なのは、本人の心の中身です。
共通して言える本人の内にある心理的な内実は、要は「仕事を楽しいと思えない」という状態です。

どんなに外部の環境をあれこれ操作しても、「仕事が楽しい」や「会社が楽しい」、そんな気持ちを抱けなければ、「やる気」「成長したい」「貢献したい」など本人の内にあるものが前向きなることはありません。

と、すると、考えることは、

「どうしたら仕事(会社)が楽しいと思えるか?」

になるのですね。

やりがちな間違い

「もちろん、そんなことわかってるよ。」

そうおっしゃるかもしれません。

「だから仕事の”重要性”や“必要性”をなんども教え込んでいるんだ。」

と。

でも、ちょっと立ち止まってみませんか?
ここに、わたしたちがやりがちな「間違い」があるのです。

わたしたいが考えることは、「やる気」「成長したい」「貢献したい」という気持ちを本人がもつために、「どうしたら仕事(会社)が楽しいと思えるか?」でした。

しかし、“重要性”や“必要性”は、「仕事(会社)が楽しい気持ち」とは直結しないのです。

多くの場合、“重要性”や“必要性”を若手社員に語る場合、とくにちょっと仕事が始まってから指導のつもりで語る場合、たいていは「お説教」になってしまいます。

若手社員は仕事のスキルや考え方はまだまだ未熟です。
ですので、どうしてもできない部分が目についてしまいます。

それに対して、“重要性”や“必要性”という名のもとに「お説教」が続いてしまったとしたらどうでしょうか。わたしが若手社員だったら、こう思います。

「仕事って、すぐに怒られるものなんだ」
「仕事って、できないことばかり指摘されるものなんだ」
「仕事って、できないうち(これから1年も2年も…)は、こうやって言われ続けるものなんだ」

つまり、

「仕事(会社)ってこういうものなんだ」

という「仕事(会社)観」が、マイナスのまま固まってしまうのです。

はじめにもつ「仕事観」が重要

最初に「仕事(会社)観」をどう持たせるかにあります。

「仕事(会社)とは楽しいものだ」

根本的なところで、このようなプラスの仕事観を持たせられるかどうか。

根本的なところでマイナスに思ってしまう「仕事(会社)観」、たとえば

「仕事(会社)とは金を稼ぐためだけのものだ」
「仕事(会社)とは結果と効率だけを求めるものだ」
「仕事(会社)とは楽しくないのが当然のものだ」


こういった仕事観を、「枯れた仕事観」と呼びましょう。

一方、


「仕事(会社)とは生きがいを感じさせてくれるものだ」
「仕事(会社)とは成長や喜びを感じさせてくれるものだ」
「仕事(会社)とは楽しいものだ」

こういった仕事観を、「みずみずしい仕事観」と呼びましょう。

根底に「枯れた仕事観」が植え付けられてしまうと、どんな重要性も必要性も、ためになる言葉や教えであっても、すべて「枯れた仕事観」の目で、思考で、感覚でとらえてしまうことになります。

仕事への根底の思いが枯れているのですから、すこしの問題やトラブルで、「きつい」「つらい」「会社が、上司が、仲間、お客がダメだ」「仕事って適当にやれば」のような、不満や他責をいつでも抱えてしまうことになります。

一方
「みずみずしい仕事観」では、仕事への根底の思いがみずみずしく、充実しているものですから、たとえ大きな問題やトラブルでも、「乗り越えるたくましさ」「知恵や工夫を出していく粘り強さ」「苦労でも笑顔で乗り越える晴れやかさ」などとともに、その仕事や使命を全うしようとします。

そうなると、上司からのいわゆる「お説教」も糧として受け止めて、成長の材料に自分からしていくことができるのですね。

根底にある「枯れた仕事観」または「みずみずしい仕事観」、どちらをもつのか。
これにより仕事への姿勢、取り組み、感じ方は、今後永続的に変わっていくことになります。

だからこそ、あたらしい時期、チャレンジが始まる時期など新鮮な時期に、「みずみずしい仕事観」を持ってもらうことに、全力を傾けることが大切なのですね。

あえてステップに分ければ、

「根底の仕事観を育てる」→「仕事に必要なことや、重要なことなどを順次教えていく」

の順番になります。

「感動体験」とは何か

では、そんな「みずみずしい仕事観」を最初に発芽させるようにするにはどうしたらいいのか?

それが冒頭にお話しした「感動体験」なのですね。

仕事そのものやこの会社で働くことそのものへの感動をはじめに体験させてあげることで、仕事やこの会社というものへの「みずみずしい仕事観」を根底的なものとして持つようになります。

すこしわかりづらいので例を出しましょう。

わたしは、「一番できない新入社員」と呼ばれていました。

新人研修でも一番ビリっけつのままに配属されたのですが、配属後、先輩たちならば1時間でおわる作業を、わたしはうんうんうなりながら、丸一日かけてやっていたのです。
やっている最中は「なんて自分はできないんだろう」「こんなことじゃ、あとで怒られるかな」なんて思いながらの仕事です。

しかしそのときです。
就業時間の終わりころに先輩がふと横を通りかかって、その仕事を見ながらわたしにこうつぶやいたのですね。

「君のこの仕事が、お客様と、お客様のおお客様も支えて、日本を支えているんだよなあ」

わたしはこの一言で、はっと開けた気持ちがしました。
自分がやっているこの仕事そのものの意味や、それに携わる喜び、こんなできない自分でもきちんと認めてくれる人がいることが一瞬にして駆け巡りました。

「ああ、この仕事は面白い。この会社はいい会社だ」

そんな「仕事観」をもったのですね。
一番できないといわれた時には、「1年続けばいいか。石の上にも三年というが、もつかなあ」なんて思っていたのが、その会社でも仕事に没頭しながら、独立するまで足掛け12年も働くことになったのです。今でもその会社の方々とは仲良くさせてもらっています。

こういった体験を、本当にごく初期に味わったのがわたしにとっては最良の幸運でした。
まだ仕事観が固まる前に、その「みずみずしい」ものを持たせてくれたのです。

「仕事が楽しい」などというと、いわゆるイベント的な盛り上がった楽しさを思い浮かべますが、ここでいう楽しいとは、もっとふつふつと内から湧き出るようなものです。充実感といってもいいでしょう。

仕事(会社)に、そういった内から湧き出る楽しさを感じるのは、もう仕事そのものからしかありません。

仕事のそのものに携わった中での楽しさ、言い換えれば充実感や「みずみずしさ」が、仕事観を作り上げます。

ですので、わたしたちがやることは、できる限り早いうちに、楽しさを「仕事そのものの中で」体験させてあげることです。

「感動体験」といっても、わたしの例のように、特別劇的なものでなくても構いません。
日常のなんでもないところに、新しい気づきや発見や充実を感じるものは、まさに「心が動く」ものは体験なのです。

仕事における「感動体験」の方法

たとえば、体験させる方法としては以下のようなものがあります。
私たち側のちょっとした勇気があれば、どの会社でも可能です。
言われてみれば、ごく単純なものです。

つまり、

できないのだから指示された作業だけをやらせるのではなく、
「できないからこそ、難しいことを、まかせる」です。

まずまかせる範囲と、求めるゴールだけ決めてあげましょう。

ごく小さい範囲でも構いません。
わたしの場合ならば、あるひとつの大きなパッケージシステム全体の、ある帳票1枚を作ることでした。
本人からすれば、やったことないものはすべて大きく感じられますから、任せる範囲の大小はそれほど問題ではありません。

ポイントは4つです。

①  実際の仕事であること
② 本人の裁量でできる
③ 本人の創意工夫・またはチャレンジが必要
④ できたら、わたしたがい、大いに喜ぶ・認める


① は、実際の仕事であることです。演習ですとか、仕事とは直接関係のない作業ではなく、まさに会社の責任をもって果たす仕事そのものであることが重要です。生身のリアルな体験というところが重要です。

② は、言われた作業を手順通りにやるだけではなく、本人の裁量で考えてできるものです。
「自分でやった」そんな感覚を持たせてあげられることですね。

③ は、ほんのちょっと難易度の高いことです。習ったことをそのままやればできることではなく、難易度がわずかに高いことで、本人がその仕事への努力や創意工夫や必要になることです。
「自分は頑張ればできるのだ」そんな感覚を持たせてあげます。

④ は、それができたら、わたしたち(経営側や上司)が大いに喜び、認めましょう、感謝しましょう。
「自分は会社の一員として認められている、歓迎されている」ことを、実感させてあげるのです。


まかせた中では、失敗もあるでしょう。求める結果ができないかもしれません。
もし求める結果ができなかった尻ぬぐいは、わたしたち側があとでやればいいのです。
(そういった意味で、尻ぬぐいする前提で、まかせましょう。)

一から十まで全部教えたり、怒ったりするのではなく、最低限だけ手を差し伸べてあげて、あとはしっかり見守る、「君ならできる」と信じ、励ますことです。

求める結果ができるかどうかは、この段階では、優先順位が低いものです。
目的は「みずみずしい仕事観」を持ってもらうこと。

まかせることで、その責任感やプレッシャーも、努力すること、創意工夫することも、できた喜びできなかった悔しさも、そうしたうえでそれが、またはそれでも、経営や上司から大いに仲間として認められていることを、実際の仕事を通してまるごと体験させてあげましょう。

それが「感動」なのです。

この「感動」は、社会人になって20年以上もたつわたしが今もずっと大切にしているように、あなたの会社の新人、若手社員にこれから一生残り続けます。

経営者、リーダーこそ感動のある「みずみずしい仕事観」を

ぜひ、新人、若手社員には、たくさんの感動体験をさせてあげてください。
よきものを体験させてあげてください。

「仕事(会社)とは生きがいを感じさせてくれるものだ」
「仕事(会社)とは成長や喜びを感じさせてくれるものだ」
「仕事(会社)とは楽しいものだ」

そんな「感動」が根底にあれば、少々のことではへこたれませんし、またいつでも前を向いていけます。

「みずみずしい仕事観」は一生の宝物です。

何よりも経営者やリーダーや上司が「みずみずしい仕事観」で仕事をしていることこそが、若手社員にとって最高の見本になります。


はじまりの時期って、可能性にあふれていますよね。
新人、若手社員から生まれ出ようとするもの、思いっきり育て上げていきましょう!

執筆者紹介

オフィスオントロジー
代表 友成治由

人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家

10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるチェンジメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。

哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。

経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など

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