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組織活性化/組織一体化

ニューノーマル時代に必須。「社員幸福経営」のポイント

あるご縁があって、前野隆司先生のニューノーマル時代の経営についてのセミナーを拝聴しました。慶応義塾大学SFCで社会システムデザインがご専門の「幸福学」を研究されています。

メモを取ることしきりでしたが、びっくりして危機感も覚えたのは、

「アメリカでは、もうすでに“社員の幸せ”を考えていない経営者はいない」

という発言でした。

アメリカではもともとポジティブ心理学など幸せに関する研究量が日本よりも20,30年進んでいると言われています、それだけ「社員が幸せになることは経営の根幹である」ことが、経営論においても一般的になってきているそうです。

単に、倫理的な理由だけではありません。

社員が幸せである方が、社員が不幸せを感じる企業に比べて、圧倒的に生産が高いことが統計でもわかっているからです。

さあ、わたしたちです。

日本のわたしたちこそ、社員の幸せ、という取り組みは、実はやりやすいんじゃないかと思うのです。

目次

社員の幸福度が高い会社は生産性が高い

「幸せ」や「幸福」というと、「そんな話を真剣勝負のビジネスに」なんて声も聞こえてきそうです。しかし、真剣勝負だからこそ、「社員の幸せ」がもっとも求められる時代に入ってきます。

会社は、お客様に価値を提供して、貢献することで対価を得ます。
ですので、さまざまな会社で、モットーの第一に「お客様第一」や「お客様満足」というフレーズが掲げられていますよね。

しかしお客様に接する社員がもし「不機嫌な顔」をしていたり、「面倒くさそうなそぶり」をチラ見せしながらお客様に対応していたらどうでしょうか?
お客様だって、イラっとしますし、気分が悪くなります。

逆に社員が笑顔で、いつも仕事を楽しそうにしていたら、お客様も気分が良くなり、もっとこの会社から購入しようと自然に思います。

実は、相手のための心、利他心というものは、自分自身が幸せであるひとが大きく、自分自身に不満や不幸せを感じている人は、利他心が少なく自分中心の利己心が大きいことが、これまた心理学の統計で分かっているそうです。

つまり、社員が幸せな会社は自然とお客様のために働くことができ、そうでない会社はかえってお客様のために働けないというわけです。

これは、生活の実感としても感じますよね。
自分が幸せでイキイキしているときは、人に親切にしたくなりますし、人から多少迷惑をかけられても気にすることもありません。
でも、自分が不満ばかりで余裕もないときは、人のためなんて考えられずいかに自分が楽になるかが基準になりますし、ちょっとした他人の言動が癪に触ってしょうがありません。

「社員の幸せ」は、お客様のために、というビジネスの根幹そのものの土台なのです。

ですので、稲盛和夫氏の経営者勉強会「盛和塾」では、「社員の幸せ」を入れていない理念は、理念とは呼べないとまで教えているそうです。

前野先生の言うには、日本でも「社員の幸せにする経営」はもうこれから必然的なものになっていくだろうと予測していますし、実際に、政府筋でも専門家ヒアリングなどの動きが始まっているそうです。

「社員の幸せ」とはどういうことか?

では、どういったことが「社員を幸せにする」ということなのでしょうか?

給料をたくさん与えること?
休暇をたくさん与えること?
仕事を思いっきり楽にすること?

パッと思いつくのは、何もせず、責任もなく、のんびりとして給料と休みだけもらえる楽園のようなイメージがわくかもしれません。

しかし、ここでいう「幸せ」とはそういったものをさすのではありません。
実際にはそういったものは短期的な感情であり、しばらくすると慣れ切ってしまって、かえって張り合いがなく不満にさえ転じていきます。

「幸せ」とは、仕事のやりがいであったり、社員同士のつながりであったり、創意工夫のよろこびであったりを指します。

そういった生きる充実感を味わえること、それが幸せであり、会社において社員たちに実現できることが、「社員を幸せにする経営」なのです。
言葉は違いますが、これまでわたしがずっと主張しているのもまさにこれです。

人間は、本来、いい仕事をしたいのです。
やりがいがあり、意味があり、自分でチャレンジ出来て、皆といい関係を築くような、
そんないい仕事を、そんないい会社でおこないたいのです。

組織体系も、評価も、労務管理も、リーダーシップも働き方改革も、全部、ぜーんぶこのためにあります。

日本のほとんどの方は、ご家族や身近な親しい方々には、その方々が幸せになることを第一に考えて、柔軟に自然に過ごされていることと思います。

同じことを、会社でもやればいいだけなのです。
プライベートだから、ビジネスだからなんて、本来区別はありません。
どちらも生身の「人間」です。
人間が幸せに感じることは、どちらも同じなのです。

「社員を幸せにする経営」の取り組みとは?

では、どういうふうに取り組めばいいのでしょうか?

一見すると、また何か特別なことをしなければいけないのでは?と思ってしまいがちですが、実は、まったくそうではない、というのです。

事例で紹介されたある地方の250名規模のN社は、「月曜日に会社に来たくてしょうがない人の割合が9割以上」という、社員みんなが仕事が好きで会社が好きでイキイキしている会社です。

何か特別なことをしたからそうなったのか?
いえ、まったくそうではありません。

みなで気を付けてやっているのは、あいさつ、掃除、コミュニケーションだけだそうです。

あいさつを元気よくする。
職場はいつも掃除してきれいにする。
社員同士しっかりコミュニケーションをとってお互い納得し合ってから仕事をはじめる。
そんな、やろうと思えば、わたしたちでもいまからでもできそうなことを、23年間かけてやってきただけだそうです。

みんなであいさつしあうと、やっぱりみんな朝から気持ちいい。
職場がきれいだと心もきれいですっきりして仕事に取り組める。
お互いを認め合いながら、じっくりコミュニケーションをとることで、仲間への信頼も親しみもできる。社長もみずから、毎年、数名単位で食事に誘ったりして、全員とコミュニケーションをとっているそうです。

理論だてしたり、体系化したりすることもときには必要でしょうが、「社員を幸せにする」という一点さえあれば、あとは付けたしみたいなものです。

上記以外にも、チャレンジできるようにする、仕事をまかせる、理念をみんなでじっくり浸透しあう、ひとりひとりを認める、などもいい取り組みですね。
それぞれの会社でできることは必ずあります。

あ、大事なポイントがあります。
上から押しつけるやり方は、「やらされ感」を生み、かえって幸福度は低下してしまいます。仮にトップ発案であったとしても、それを社員がワクワクして楽しんでできて、幸せを感じていくかどうかがポイントですね。

まとめ~さあ、今から社員とともに幸せになろう

社員を幸せにする、幸福経営やウェルビーイング経営という言葉は、これからの日本社会で益々求められるキーワードで、もうその流れはとまらないでしょう。

もっとも、もう流れを待つ必要なんてないですよね。
いまから、さっそく、できることからはじめて、みんなで幸せになっていきましょう!

執筆者紹介

オフィスオントロジー
代表 友成治由

人と組織の可能性と創造性を引き出すメンター
人と会社を伸ばすメンタリングの専門家

10年超にわたる起業家育成や変革人財育成経験から得た実践知と、意欲心理学によるメンターメンタリングで人が本来持っている意欲、可能性、価値を引き出す。
主体性/リーダーシップ開発、メンター育成、メンター制度構築、チーム活性化などを支援。

哲学存在論専攻。
宮崎県出身。今もなまりはとれない。

経営メディア『経営プロ』にて執筆コラム掲載。
コラム「メンタリングで人や組織の可能性を引き出す」など

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